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千葉卓三郎の素晴らしさ伝えたい

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千葉卓三郎の素晴らしさ伝えたい
五日市憲法題材の小説「反骨」朗読会

五日市憲法草案の起草に奔走した千葉卓三郎や深沢名なおまる生、権八父子らの姿を描いた「反骨」(単行本『民の旗』)の朗読会が11月4日、羽村市川崎の宗禅寺であった。40人近くが参加し、同憲法の先見性と起草した五日市の人たちへ思いを馳せた。同寺の土曜講座としてタクロンチーバ普及協会が主催した。

仙台藩下級藩士の家に生まれた卓三郎は戊ぼしん辰戦争白河口の戦いに参戦。敗戦を味わい、真理を求めて皇学、仏教、キリスト教などを学んだ。中でもギリシャ正教に傾倒。上京して洗礼を受け、布教活動に携わった。明治12(1879)年ごろから秋川周辺の各地で教職に従事した。

朗読会には40 人近くが参加し、千葉卓三郎の生き方にふれた

宗禅寺 土曜講座でタクロンチーバ普及協会

五日市勧能学校に勤めると、深沢父子ら新しい知識、思想を求める五日市の民衆に受け入れられた。学芸講談会の活動を通じて地域の自由民権運動の質を高め、五日市憲法草案起草へと結実させていく。

「反骨」は卓三郎を中心に近代日本の黎れいめい明期に生き、新しい日本の形成に熱い情熱を投じた当時の五日市の人々の姿を描いている。

朗読会は、同普及協会代表の羽村幸子さんが小説の要所を抜粋し、劇団員の塩田知佳さんが聞くものを当時の世界に引き込む語りで披露した。音響は関美智子さんが担当した。

朗読後は著者の岡村繁雄さんが執筆の経緯などを語り、「卓三郎は戊辰戦争で敗者となり、流転の人生でもあった。それでも五日市の仲間とともに憲法草案のまとめに尽力し、病が悪化した後も、東京本郷の病院で命の火を燃やし続けた。2013年、当時の美智子皇后さまが『19世紀の日本で、市井の人々の間にすでに育った民権意識を記録するもの。世界でも珍しい文化遺産』と称賛され、五日市憲法に脚光が当たった。起草から140年、真に価値あるものは長い歳月にさらされても色あせない」と話した。

会場からは「敗者、流転、命の火という言葉が心に残った。前向きになれた」、「朗読を聞き、卓三郎の人物像が明確になった」などの声のほか、羽村さんが中心となり五日市憲法を題材に4年前に製作した短編映画「みんなの憲法」で卓三郎役を務めた川崎憲治さんは「卓三郎の生き方が自分の人生に生きている」と話した。

羽村さんは「卓三郎を学べば学ぶほど素晴らしい人だと思う。より多くの人に知らせたい。大河ドラマになればいい」と普及活動への前向きな気持ちを語った。

同寺の高井正俊住職は「土曜講座らしい活発な意見が出る会になった。今後も文化の普及のために役立つ寺でありたい」と述べた。

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