新着記事

青空 台地 農の風 第58回中学生の「税についての作文」

地域

 

青空 台地 農の風 ~ 農のあるまち 生きる人たち~

 

「託された世界の未来」

 

「託された世界の未来」

あきる野市立増戸中学校3年 山﨑理桜

アメリカ合衆国マサチューセッツ州北東部に位置する世界都市ボストン。この場所は私にとって決して忘れることのできない大切な場所だ。

私の人生を大きく変えるきっかけとなったこの事業は、私の住むあきる野市の中学生海外派遣事業だ。費用は人あたり12万円。旅行などで渡米するとしてもこの金額では済まないだろう。ではなぜ12万円という金額でこの事業に参加させていただくことができたのだろうか。それは市民の方々が納めて下さっている税金のおかげだ。

正直、渡米前はとくに何の目的もなかった。将来の夢も、就きたい職業もなく毎日あたりまえのように学校に行き、部活に励み、勉強し、なんとなく生きていた。だからこそこの事業を通して自身が大きく成長し、変わることができたのかもしれない。

私は将来、海外で働きたい。今様々な所で聞く「国際社会」「グローバル化」そして「人種差別」など決して私達にとって関係ないことではない。日頃のニュースなどでよく目にする「紛争」「難民」「気候変動」など、これらも全て国際社会においての問題である。この問題を全て解決することは到底難しいだろう。それでも私はこの社会の中で少しでも役立つ人間になりたい。これが私の夢だ。

この夢を与えてくれたのは、税金に支えられ参加することのできた海外派遣事業だ。

最近、税金に対する批判の声や負担の大きさへ落胆している声が増えていることも事実だ。だけど私は全ての納税者に伝えたい。決してその税は無駄にはなっていないということを。今後の未来を変えていける人材の卵である今の私達にこのような夢や希望を与えてくれるきっかけになっているのも税のおかげだ。

人々にとって負担の大きい事で、出来るものなら納めたくないと思う人もいるかもしれない。だけれど、それを10人、100人、1000人、何10万、何100万もの人々が行うことで、1つの大きな力、そして未来へ夢と希望を持っている私達にとって大きな後援となっていることを忘れないでいてほしい。

私は夢と希望をくれた全ての納税者の方々に恩返しをしたい。そのためには、夢を叶え社会で必要とされる人材、少しでも役立てる人間に必ずなるとここで約束する。思い出の地で得た経験、自分ができる最大の努力を生かし私は大きく前進する。

今の私達にできること。それは今をもっと明るく平和な未来へ導くことだ。日本、そして世界の未来は私達に託された。託された未来は必ず私達が変えてみせる。

あきる野市立増戸中学校3年 山﨑理桜

あきる野市立増戸中学校3年 山﨑理桜

「多摩からつなぐ未来」

「多摩からつなぐ未来」

奥多摩町立奥多摩中学校 3年 杉村錦

毎年2月になると、私はゆううつな気分になる。自宅の周りは、スギ花粉で黄色に染まった山が四方を取り囲み、それが私の目や鼻を刺激し神経を逆なでる。国民病とも言われる花粉症の有病率はおよそ3人に1人の割合であり、私もそのうちの1人だ。

私が住む奥多摩町は東京都でありながら、森林が町の94%を占めている。今、奥多摩町にある森林の多くは、次世代のために昭和30年ころから人の手で植林されたものだ。雪にも強く、成長も早いスギの木は高度経済成長期の日本には欠かせない木材であった。

しかし、スギが育つ五十年の間に、木材の輸入自由化による価格低迷やコンクリートなどの建築材が台頭し、成長したスギの木が切られずに残ってしまっているのが今の奥多摩の、いや日本の現状だ。

花粉を飛ばすスギの木は樹齢30年から60年と言われており、本来ならば建築材として使われるはずの樹齢である。つまり、適齢期のスギが伐採されずに残っているため、花粉をたくさん飛ばし、私を含む多くの日本人を悩ませていると言える。

去年、防災をテーマとして奥多摩産スギについて調べたとき、東京都と12区市町村が連携して、令和5年から「多摩の森」活性化プロジェクトに取り組んでいることを知った。このプロジェクトでは、多摩地域の森林整備等を進めるためカーボンオフセット、林業作業、自然観察、間伐材の活用などが行われている。中でもカーボンオフセットはCO2など温室効果ガス削減のため国を挙げて推進している事業の一つだと分かった。この考え方はSDGSを達成する上でも重要視されている。

そして、このプロジェクトには税金が使われていることが分かった。平成31年に「森林環境税および森林環境譲与税に関する法律」が成立し、令和6年度からは、国内に住所のある個人に対して1人年額1000円を徴収する森林環境税が新たに導入された。その税収の全額が国によって森林環境譲与税として都道府県・市町村へ譲与される。

使い道が限定されるこの税金の仕組みを私はとても良いと思った。地球温暖化による災害は日々ニュースなどで目にすることが多くなっており、現代を生きる私たちだけでなく、未来のためにも国全体が共通の課題として取り組んでいく必要性を感じた。

森林環境を守るという課題はとても壮大だが、複数の自治体で協力して取り組むことによって大きな力となり、少しずつでも環境をより良くしていくことができるに違いない。多くの温室効果ガスが排出される東京の地で二酸化炭素を吸収し続け、安心な生活を守るために重要な役割をしてきた奥多摩に住んでいることを私は誇りに思う。1人年額1000円の税金によって私たちの未来の自然環境が少しでも良くなることを願っている。

奥多摩町立奥多摩中学校 3年 杉村錦

奥多摩町立奥多摩中学校 3年 杉村錦

Copyright© 街プレ -東京・西多摩の地域情報サイト- , 2025 All Rights Reserved Powered by STINGER.