閉園を知った保護者ら「未来へ残したい」と運営を引き継ぐ
9月17日、体験会を開催
来年度から保護者たちの手による運営体制となる「大久野幼児園森の教室」(日の出町大久野)は、「自然保育森の幼児園」と名称を新たに、8月15日から園児募集を始めた。
これまで「大久野幼児園 森の教室」として運営してきた同園は戦後間もなく、近所の子どもたちを集め青空保育を始めたのが始まり。1 9 5 4(昭和29)年には土曜学校と就学前の子どもたちを受け入れる同園を開いたが、当時、日の出町に幼稚園はなく、母親たちの希望で自治会館を借りてスタートした。1984(昭和59)年、現在の園長、田中則子さんに引き継がれたが、時代とともに園舎も古くなり幼稚園自体の基準や規制が厳しくなっていく中、田中さんはベルギーで園舎を持たない「森のようちえん」の存在を知った。補助金に頼らず自然をフィールドとした、この運営手法を取り入れ野外保育をスタート。西多摩各地から子どもを預ける保護者も増えていった。
しかし園長後継者もおらず、田中さんの年齢もあり今年、閉園を決意。自治会から借りている旧自治会館を活用した園舎も古く、地元からも「閉園し、取り壊した方がいいのでは」との声も上がった。
閉園の事実を知った保護者ら数人は、自身の子どもたちは卒園に間に合う中だったが、「本当にこれでいいのか」と悩み、話し合いを続けてきた。他にはない環境や土地、自然を生かした保育を、これからの未来の子どもたち、保護者に残したいと考え、印南幸恵さん、小林かおりさん、佐藤明希さんの3人が代表理事となり一般社団法人「紡ぐ手」を設立。園の引き継ぎに動き出した。
3人は「唯一無二のこの地形を生かした保育。遊具のない園庭では自分がおもちゃ、自然がおもちゃ。自分で考え遊びを作り出します。厳しくも大きな自然の中で、夏の暑さ冬の寒さを共に乗り越え、お山登りや川遊びなどの自然体験を通して、仲間を思いやり助け合う優しい気持ち、頑張りぬく力を育てていきたい」とビジョンを語る。
9月17日の9時〜12時に同園の体験会を開く。1家族500円(保護者同伴)。昼は釜戸飯とみそ汁を用意する。申し込み締め切りは開催日の3日前まで。