SDGsアワード西多摩
SDGsアワード西多摩2022
受賞3賞決定
「SDGsアワード西多摩2022」
多くの方にご来場頂き、
誠にありがとうございました。
国連が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)の達成につながる西多摩地域の活動を対象にした「SDGsアワード西多摩2022」。街プレ創刊10周年を記念し2022年7月16日、福生市民会館で開催致しました。当日は関係者、一般合わせ200名を越す多く方にご来場頂きましたこと、心より御礼申し上げます。
西多摩地域では近年、自然の保全活動や教育支援はもとより、西多摩に脈々と続く歴史、文化、伝統的な生活を再認識し、新たな価値の創造につなげ、豊かな暮らしにつなげる多くの取り組みが盛んに生まれています。
「SDGsアワード西多摩2022」をスタートに、そうした各所で行われている事業への理解と賛同の輪を広げ、西多摩地域内外より多くの方々へこの地域の魅力を知って頂くため、今後も取り組んでまいりたいと思いますので皆さまのご支援、応援のほどよろしくお願い致します。
【主催】 | SDGsアワード西多摩 2022実行委員会 企画:街プレ編集部 |
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【協力】 | JAあきがわ、JAにしたま、JA西東京、多摩西部朝日会・栗原新聞店・東京西徳洲会病院・東京都中小企業診断士協会三多摩支部・大多摩観光連盟・青梅市観光協会・福生市観光協会・羽村市観光協会・あきる野市観光協会・瑞穂町観光協会・日の出町観光協会・檜原村観光協会・奥多摩観光協会・青梅法人会・青梅商工会議所・福生市商工会・羽村市商工会・あきる野商工会・瑞穂町商工会・日の出町商工会・クレムリ |
【後援】 | 東京都・青梅市・福生市・羽村市・あきる野市・瑞穂町・日の出町・檜原村・奥多摩町 |
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第一部
基調講演
「SDGsを"道しるべ"に西多摩地域の再構築を」講師:
慶應義塾大学
SFC 研究所xSDG・ラボ
慶應義塾大学大学院政策・
メディア研究科
佐久間 信哉 特任教授中央大学法学部政治学科卒業。長年、地方公共団体で、様々な政策づくりに関わった後、現職。慶應義塾大学 SFC 研究所xSDG・ラボメンバー等複数の研究室に所属する傍ら、湘南みらい都市研究機構事務局長、鎌倉市行政委員、湘南鎌倉医療大学評議員、医療法人や企業等の理事やアドバイザーを務める。
(xSDG・ラボとは?)
SDGsの特徴の一つは、自律分散協調による、あらゆる主体の取り組みとその組み合わせによるイノベーションにある。企業活動や地方自治体などによる取り組み、消費や投資活動、IoTなど、世の中のいろいろな活動とSDGsを「掛け合わせる」ことで、真に持続的な成長を実現する可能性を秘めているのが「×SDG(エックスSDG)」。xSDG・ラボは、多様で複雑な社会における問題解決をSDGsという切り口で実現するため、アカデミアの枠を超えたソリューション指向の研究を実施し、SDGsのベストプラクティスを創出・集積しています。講演内容
基調講演では、SDGsの概略や政府の取り組み、先進自治体の例などを紹介し、西多摩地域のSDGs推進のヒントを探った。
大要は次の通り。
SDGsを活用する自治体は2021年度で52%に達し、政府が選ぶ「SDGs未来都市」には全国で150を超える自治体が選定されている。
SDGsは個人や企業にも浸透しており、国民の大半がSDGsを知っていて、3分の1が内容をそれなりに理解している。
普段からフェアトレード商品を購入する、フードロスをなくすなどSDGsを知らなくてもSDGs的行動を取っている人も多くなった。
幼い頃から日常生活や学校教育などでSDGsに関する言葉や知識に触れ、環境問題や社会課題に高い関心を持つSDGsネイティブも育っていて、持続可能な社会の創り手となる人がマジョリティーになれば、大きな社会変革が起こる。
地域にとってのSDGsを考えた時、地方創生に当てはめて施策を推進することが可能で、都内にあって人口減少が始まるなど地方性を持つ西多摩にも有効に。
「SDGs未来都市」に最初に選ばれた北海道下川町は、早い段階から経済、社会、環境の問題を統合的に解決する取り組みを行い、人口減少も緩やかになった。
行政と住民が、どんなまちになったら素敵かを徹底的に話し合い、目標を決めて取り組んだ結果と言える。
経済の縮小、少子高齢化、生活困難者や空き家の増加、自治力の低下など地方が抱えるさまざまな課題は、SDGsに当てはめて取り組むとすべてつながる。今こそSDGsを道しるべとし、地域社会を再構築していくことが望ましい。
西多摩の3市3町1村の
市町村長が登壇
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青梅市長
浜中 啓一氏
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福生市長
加藤 育男氏
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羽村市長
橋本 弘山氏
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瑞穂町長
杉浦 裕之氏
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日の出町長
田村 みさ子氏
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檜原村長
坂本 義次氏
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奥多摩町長
師岡 伸公氏
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第二部
西多摩の全市町村長登壇
パネルディスカッション「SDGs達成へ向けた、地方自治体の役割と取り組み」講演内容
西多摩7市町村長が登壇し、各自治体の取り組みを紹介し推進に意欲を示したほか、西多摩の広域連携の必要性も確認した。
ファシリテーターを務めた松本教授は2016年度からゼミで奥多摩町の活性化をテーマに活動を行い、2021年度は羽村市第6次長期総合計画アドバイザー、瑞穂町商工業振興推進協議会会長を務めるなど西多摩地域と関わりが深い。各自治体の魅力とSDGsの取り組みについて質問し、市町村長は以下の様に答えた。
浜中青梅市長は「『あそぼうよ!青梅』をキーワードに市民に地域の良さを知ってもらう政策を進めている。
『住んでいる人が地域の特性に合わせて交通は不便だけど自然があるから楽しい』と実感できるものにしたい」と報告。
「2月には『ゼロカーボンシティ』を宣言し、企業と共に進めている。2050年は遠いようで近い。公用車を電気自動車にするなど身近なところからできることを推進したい」と語った。
加藤福生市長は「横田基地のあるまちで、基地沿いの洋の文化と玉川上水沿いの和の文化に色分けされたまち。自転車でまちをめぐる人も増えている。〝子育てするなら福生〟の施策を進め、経済誌が行うランキングで21年度は都内で1位になった。
外国人が多く、60カ国4000人、行政は11カ国語に対応している」と特性を紹介。東京たま広域資源循環組合の副管理者を務める立場から「西多摩をはじめ多摩地域ではゴミ袋の有料化を進めるなどゴミの分別に力を入れ、リサイクル率は40%に達している。ゴミの焼却灰をエコセメントに活用することで、最終処分場への埋め立てを現在はゼロにしている」と報告した。
橋本羽村市長は「市の面積は小さいが、都内2位の出荷高を誇る工業のものづくりの地域と玉川上水沿いの昔の面影のある地域がある。『はむらの水』をペットボトルで販売しているほどおいしい独自の水源を持っている。2022年度から始まる6次長期総合計画はSDGsの目標を取り込み進めることになる。企業との連携も進んでおり、日野自動車工場内の排熱を利用してスイミングセンターで利用している」と語った。
杉浦瑞穂町長は「狭山丘陵があり、農業のまちとのイメージが強いが、年間工業出荷額が6300億円で都内1位の工業のまちという顔を持つ。まちの個性を多くの人に知って欲しい」とした上で、「SDGsを普及させるにはまちの将来像を示すのが大事だと思っている。住民に日常の中で自然に意識し実行してもらえるよう努力したい。
加藤市長が多摩のごみのリサイクル率は40%といったが、23区はゼロ%。分別するだけでこれだけ違うと伝えていきたい」と呼びかけた。
田村日の出町長は「自然に囲まれたまちで、30年ほど前から力を入れる福祉政策はハード、ソフト両面で充実してきた。少子化対策も進めている。
84%の町民が住み続けたいまちと思ってもらっている。一方で持続可能かなどの視点から政策の見直しを行っている」と紹介。
「700人が住む公共交通空白区の日の出団地に、公立阿伎留医療センター、武蔵引田駅に行くコミュニティバスを開通させ10分で結んだところ、『家に引きこもりがちだったが人が外出できた』『車に乗れなくなっても住んでいられる。将来の不安が消えた』などの声が寄せられた。SDGsの目標は自治体にとって成果を考える気づきにもなる」と訴えた。
師岡奥多摩町長は「水と緑の国立公園の中にあり、小河内ダムを守り、都民の水を確保している。前町長時代から日本一きれいな観光トイレに力を入れ、観光業者、観光客を巻き込みまちの美化活動につながっている。ただ、オーバーツーリズムの課題も出ており、心地良く遊べる環境づくりに引き続き努力したい。町内では空き家、空き店舗が増えているが、分収林や休耕地を含め活用することで財産になる。空き校舎はワーケーションなどで有効活用されている」と現状を報告した。
坂本檜原村長は「下水道整備や街灯のLED化など環境対策に取り組んできた。森林バイオマスにも目を向け、木材の活用で脱炭素化を進めたい。
庁内ではSDGs17の目標がどの課に該当するかを把握し、意識を高めていく取り組みも行っている」と紹介した。
松本教授は「子どものときからSDGSに対する教育を受けてきたSDGSネイティブの人たちに選ばれるまちになるにはどうしたらいいか、目標を立てていくことが大事。西多摩アベンジャーズとも言える7つの顔が協力し合っていくことは素晴らしい。西多摩の今後に注目したい」と締めくくった。 -
ファシリテーター:
多摩大学 経営情報学部
松本 祐一 教授1972年生まれ。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。専門はソーシャルマーケティング。学生時代にNPO立ち上げを経験後、市場調査会社で商品開発に携わり2005年から多摩大学総合研究所勤務。2019年4月より現職。多摩地域を中心に企業、行政、NPOの事業開発支援に従事し、セクターを超えた「協創」をコーディネートしている。
ゼミでは奥多摩町の活性化をテーマに2016年度から活動中。その他にも2021年度は羽村市第六次長期総合計画アドバイザーや瑞穂町商工業振興推進協議会会長を務めるなど、西多摩地域に縁が深い。
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第三部
「SDGsアワード西多摩 2022」受賞者表彰
自薦他薦によりノミネートされた33の企業、団体、個人から、アワード審査会の審査により3賞が選ばれました。
審査員
東京市町村自治調査会 小町邦彦参与
/ 多摩大学 長島剛教授
朝日新聞立川支局 杉山圭子記者
/ 実行委員会 樋口昭久代表
活動拠点:奥多摩町
審査会評価ポイント
見落としがちなトイレを輝かせることにより、奥多摩を世界に向けて輝かせる活動に光がある。事業として行っており、継続性が高く、何より楽しくやっているのが良い。
活動自体が地域の誇りとなり、彼らの活動でまち全体のイメージが変わり、町内外の人々の意識も変えている。トイレにとどまらず、キャンプ場など周辺の清掃、さらには見守り活動も自主的に行うなど、年々活動の幅を広げている。その姿が、奥多摩を訪れた登山客や観光客らのお手本になるなど広がりを見せている。
事業概要
「オクタマ・ピカピカ・トイレ」の略称で、町内22か所の観光トイレを清掃する社員の愛称。洒落た作業着をメンバー全員が着て、トイレ掃除を「カッコよくて、誰もが憧れるような仕事」に変えている。「日本一観光用公衆トイレがきれいな町、奥多摩」を目指し、日々清掃を続け、テーマソングの制作やポスター制作など、自分たち自身を情報発信と捉え、観光客と共に美しいトイレの維持を目指している。
また、ボランティアで河川等のゴミ拾いや清掃にも参加し、町内の美化に努めている。
活動拠点:青梅市
審査会評価ポイント
川沿いから地域を巻き込む可能性のある取り組み。また川が命の源である海へつながる観点から世界へ広がる活動でもあある。事業として実施していく中で、自然と関わる人たちが広がり、輪になっていくつながりを生んでいる。
子どもたちにとっても、SDGsを意識したスポーツ活動、教育などのお手本にもなり、将来性にも大きく期待できる。
事業概要
パドリングスポーツ大会「御岳カップ」では、大会発足後からイベントスケジュールの中にリバークリーンの時間を設けて、選手と大会スタッフで御岳渓谷の清掃活動を実施。台風19号による被害が出た際には、大会を中止し、清掃活動を行う。パドラー以外にもクライミング関係者、釣り人、ハイカー、地元住民など2日間で約300名が参加した。2010年10月に「第1回青梅リバークリーンマラソン」開催し、8チーム31名の参加者と約1.3トンの川ごみを、2022年3月開催の第4回大会までで合計5.3トンの川ごみを回収。多摩川138kmの清掃活動「Paddle & NicePick」を実施し、2021年2〜3月には5回に分けて、御岳から羽田までの約75kmの区間で清掃活動も実施する。毎週月曜日早朝6時から8時までのリバークリーン(2020年6月から実施)を続ける。リバークリーンラフティングを事業としてツアーも企画し、数多くの企業や学校関連者に利用もされている。
活動拠点:福生市
審査会評価ポイント
学校型、体協型スポーツの壁を地域から壊して、人が本来持っている体を動かし楽しく人生を生きるステージを、格差を生まないように展開している点を評価。
活動年数も長く、今回ノミネートされた教育分野では、将来性にも期待をしたい。
事業概要
福生市で活動するスポーツクラブで幼稚園~大学生まで、300人を超える子ども達が活動。
スポーツを通じて、子どもたちにフードロスについてや、ペットボトルや割り箸を使わない「ウォーターサーバーと5784」の取り組み、地域への出張授業や、地域の人たちと共に、ゴミ拾い大会「あつゴミ」を実施するなど、スポーツクラブの枠を超えた実践型の教育を行っている。