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西多摩は、「災害に強い地域」(後)

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西多摩は、「災害に強い地域」(後) 全国に発信できる「防災知性」のモデルを

地盤が強く、豊かな自然に囲まれたあきる野市西部地域(写真=森下晴男さん)

地盤が強く、豊かな自然に囲まれたあきる野市西部地域(写真=森下晴男さん)

■「1週間を生き抜く」備えを

西多摩の場合、注意が必要なのは「孤立」への備えだ。

山間部では、土砂崩れなどによって道路が一時的に通行できなくなる可能性がある。そこで各家庭が食料、飲料水、携帯トイレ、照明、電源などを備え、一定期間、外部からの支援が届かなくても生活できる態勢を整えることが求められる。

家庭での「自助」と、近隣住民による安否確認や助け合いという「共助」、そして行政による「公助」を組み合わせることが重要だ。

西多摩には、都市部に比べ、顔の見える地域コミュニティが残っている地域も多い。この人的ネットワークは、防災の観点から見れば大きな資産といえる。

■「日本一、防災を考える地域」へ

西多摩が目指すべき地域ブランドは、「日本一安全な地域」といった単純なランキングではない。

地盤が比較的安定している地域、浸水リスクのある地域、土砂災害に注意が必要な地域。それぞれの特性を正しく把握し、住民がその情報を理解するとともに、行政や企業と共有していく。

つまり、「災害リスクが低いから安全」ではなく、「リスクを知り、備え、地域全体で被害を小さくする」ことを安全の定義とすること。これこそが、西多摩が全国に発信できる「防災知性」のモデルになるだろう。

例えば、西多摩8市町村が連携し、共通の防災教育プログラムを作る。地域の地形や過去の災害を学ぶ「西多摩防災講座」を設ける。企業向けには、地域の災害リスクと事業継続計画(BCP)を組み合わせた立地情報を発信する。

さらに、住宅の耐震化、地域防災、防災教育、企業のBCPを一体的に進める。

こうした取り組みが積み重なれば、「西多摩=自然豊かな地域」という従来のイメージに、「防災先進地域」という新たな価値を加えることができる。

■防災を「コスト」から「地域への投資」へ

少子高齢化や人口減少が進む中、自治体間の地域間競争は、今後さらに激しくなる。

移住先を探す子育て世代にとって、安全性は住宅価格や交通、教育環境と並ぶ重要な要素になり得る。企業にとっても、従業員の安全や事業継続を確保できる立地は重要だ。

だからこそ、防災を「災害を防ぐためのコスト」とだけ捉えるのではなく、「人と企業を呼び込むための地域投資」と捉え直す必要があるだろう。

西多摩には、自然、首都圏へのアクセスの利便性、豊かな地域コミュニティという資産がある。そこに「防災知性」という新しい価値を加える。

「災害が少ないから安心」ではなく、「災害を正しく知り、地域全体で備えているから安心」。

西多摩8市町村がこうした理念を共有し、それぞれの地域特性に応じた取り組みを進めることができれば、「災害に強い西多摩」は、地域振興と経済成長を同時に進める強力な旗印になる。

自然と都市の距離が近く、暮らしと仕事を両立できる。そして、いざというときには地域全体で支え合える。

防災を地域ブランドにする。西多摩が次の時代の「豊かな暮らし」のモデル地域を目指すなら、その出発点として「災害に強い地域宣言」を掲げる価値は十分にある。

(岡村信良)

 

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