田村酒造場から玉川上水を500㍍下ると奥多摩街道に架かる清岩院橋がある。この橋から上流への眺めは地域住民の憩いの風景となっている。
土手に植わる広葉樹が秋はもみじに染まり、川面に映る。緩やかな流れにはカルガモの姿も見られ、静かな時間が過ぎていく。流れは本来澄んでいて、鏡のように樹木を映すが、今年は9月の台風の影響で奥多摩湖の水が濁り、玉川上水も緑色っぽく濁っている。
流れに隣接して佇むのが、臨済宗の古刹、福生山清岩院(榎本令秀住職)だ。応永年間(1394年〜1428年)に建立された。境内には弁天堂と珍しい車地蔵がある。弁財天が奉られているところには清らかな水がある。 同寺では数カ所から湧水が出ていて、せせらぎを奏でて境内をめぐっている。1995年に新築された本堂と、透明度の高い池がポイントになる日本庭園は見事な風格を持つ。
都は2003年、湧水に対する都民の関心を高め、その保護と回復を図ろうと、水量、水質、その由来、景観などに優れた湧水など57カ所を「東京の名湧水」として選定した。東京福生十景の1つ、清岩院の湧水も選ばれた。
寺には清岩院幼稚園が併設され、子どもたちの声も清々しい。