東京西徳洲会病院 心臓血管外科部長 須田 優司
『意外と知られていない下肢静脈瘤のはなし―その2』
前回は下肢静脈瘤の症状についてお話ししました。今回はそのメカニズムと治療法についてお話しします。
体には心臓から体の隅々まで血液を運ぶ動脈と、体から心臓に血液が戻る静脈という2つがあります。足(下肢)へ運ばれた血液は重力に逆らって心臓まで戻ってこなければなりません。このため静脈には一度心臓の方に流れた血液が足の方に戻らないようにするために逆流防止の弁がついています。この弁の機能が悪くなると、心臓に向かった血液が逆流して足の静脈に血液が溜まってしまいます。壁の薄い静脈は、溜まった血液で風船を膨らますようにコブ(瘤)ができ変形してしまいます。すると、足はいつも余分な血液の袋をつけているようなもので前回お話ししたような症状を起こしてきます。
そこで、治療は、逆流してくる静脈を使えないようにしてしまうことです。そのために、静脈を引き抜いてしまうストリッピング手術、レーザーの熱で静脈の内側を潰してしまう血管内レーザー治療があります。また、腫れを抑える弾性ストッキングによる圧迫療法、細かい静脈には、薬を注射して固めてしまう硬化療法や外からレーザーを照射する方法もあります。治療はこれらの組み合わせになることが多いので専門医にご相談ください。
東京西徳洲会病院心臓血管外科部長 須田優司
経 歴
信州大学医学部卒 新東京病院 心臓血管外科
東京女子医大第二病院心臓血管外科 東京西徳洲会病院 心臓血管外科
東京厚生年金病院 外科
関東逓信病院 心臓血管外科
東京女子医大第二病院(現東医療センター) 心臓血管外科講師
Baylor College of Medicine, Surgery
資 格
心臓血管外科専門医 日本循環器学会認定医
日本胸部外科学会認定医/指導医 医学博士
日本外科学会専門医/指導医