あなたの前立腺は健康ですか? 前立腺がんの疑いと云われたら
東京西徳洲会病院 腎臓病総合医療センター長 泌尿器科部長 小川 由英
健診を受けたら、PSA(前立腺抗原)が高いと云われたらどうしますか?多くの病院では直ちに前立腺生検(針を刺して組織を採る)をします。当院では、MRI(最新の機種3・0T)を撮影して、癌の有無とその位置を確認してから生検します。実に数日で撮影でき、癌がMRIで無い場合、生検はしません。MRIを撮影すると生検で癌と診断できる確率が高くなります。出来るだけ痛い生検は避けるようにします。蛇足ですが、60歳を超えたら、男性の30〜40%には小さな前立腺癌があるのは当たり前ですので、あまり心配しないで大丈夫です。
MRIで癌が疑われたら、前立腺の生検をします。局所麻酔下に超音波で前立腺を見ながら、針を刺して、組織を採ります。その際にMRIで疑われた部位を注意深く狙って組織を採ります。大体6か所から12か所の針生検を実施します。生検後一晩病院に泊まってもらいます。次の日に問題なければ、退院できます。
その約2週間後に組織の結果が判明します。その結果で癌と診断された場合には適切な治療が必要になります。当院で提供できる治療法は次の四つから選択できます。
①良性の癌(がんもどき)で、病巣が小さくて、PSAが10以下の場合には治療を急がず、経過をみても良いでしょう。
② 中等度~悪性の癌で、病巣が前立腺の外に進展していないで、骨などへの転移もない場合は、手術を勧めます。
③中等度~悪性の癌で、病巣が周囲への進展が疑われ、手術では切除しきれない場合は、放射線治療(外照射)を勧めます。
④ PSAが高く(30以上)で遠隔転移(骨など)が疑われる場合には、ホルモン療法と骨転移治療薬を投与します。前立腺に放射線治療をする場合もあります。
東京西徳洲会病院 腎臓病総合医療センター長 泌尿器科部長 小川 由英
現 職
東京西徳洲会病院 腎臓病総合医療センター センター長
東京西徳洲会病院 泌尿器科部長
琉球大学名誉教授
職 歴
1970年4月 慶應義塾大学医学部助手(大越正秋教授)
1976年7月 米国バージニア医科大学 移植血管外科 臨床フェロー(H.M. Lee教授)
1978年7月 筑波大学 腎泌尿器系 講師(北川龍一教授)
1982年7月 順天堂大学 泌尿器科 助教授(北川龍一教授)、慶應義塾大学 泌尿器科 兼任講師(田崎寛教授)
1994年1月 琉球大学 泌尿器科 助教授(大沢炯教授)
1995年4月 琉球大学 泌尿器科 教授 兼 血液浄化療法部長
2008年4月 琉球大学 医学部 名誉教授、東京西徳洲会病院 常勤顧問
お問い合わせは
東京西徳洲会病院TEL(代表) 042-500-4433