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大悲願寺の伝阿弥陀如来三尊像が開帳される(西多摩唯一の重文仏像、あきる野市)【街プレ倶楽部 西多摩歳時記】

あきる野市の大悲願寺(真言宗豊山派の寺院、鎌倉時代の建立)で、国の重要文化財である伝阿弥陀如来三尊像の年1回の開帳が行われる。西多摩唯一の重要文化財の仏像である。
4月21日の大般若転読会(てんどくえ)、4月22日の弘法大師御影供(みえく)法要に合わせて開帳されるもの。開帳は例年4月21日は11時と15時、4月22日は13時と15時の各2回。日が近づくと、寺の前に、その年の開帳時刻が貼り出される。4月21日(旧暦3月21日)は弘法大師の命日にあたる。
三尊像は、伝阿弥陀如来坐像および脇侍の千手観世音菩薩と勢至菩薩坐像からなる。平安末期から鎌倉時代にかけての作と考えられている。何れも金色の寄木作り。この三尊はちょっと変わっている。一つは、中央の阿弥陀如来が弥陀の印でなく、釈迦如来などの像に見られる禅定印(ぜんじょういん。お腹の前で両手の親指と伸ばした他の指とで輪っかを作る形。)である点。このため「伝」と付されている。また、脇侍の観音が千手観音である点も珍しい。素朴で気品に溢れ、厳かさの中にも優しさを感じさせる仏様である。
21日には、15時の開帳に先んじて、大般若経転読会が信者の前で行われる。大般若経は600巻に上るが、末寺から集まった10余名の僧侶が分担して、この全巻を転読する。アコーデオン状の経典を掲げ、滝が流れ落ちるようにページを繰り、流し読みをする。なかなかの見ものである。元々は巻物の形の経典を転がしながら行ったことから転読と言われ、奈良時代から行われてきたもの。
年1回の拝観チャンスのため、毎年、遠方からも多くの仏像ファンが訪れる。

 

大悲願寺

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