創業明治10年の老舗の味わい
東青梅駅から徒歩3分の場所に店を構えるパン屋、火打屋本店(青梅市勝沼)。コッペパンやベーグルが評判で、遠方から買いに来る客もいるほどだ。
明治10(1877)年に「吉井屋」という屋号で火打石の金具を扱う鍛冶屋として始まった同店。マッチが普及し始めた時期に業態を変え、饅頭や団子などを売るようになった。その頃、当初の業態の名残から「火打屋」と呼ばれるようになり、店名として定着していったという。パン屋になったのは3代目以降。配給のハチミツを砂糖代わりにしてパン作りを始めたことがきっかけだったという。その後もパン屋として暖簾を受け継ぎ、現在、店を切り盛りするのは、5代目の藤谷恭子さん(45)。「いつまでも愛される店」を目指し、シンプルで質の高い素材を使ったパンづくりを続けている。
店内には、食パン、味付き食パン、コッペパン、ベーグル、菓子パンの5種類が並ぶ。コッペパンは、「ピーナッツクリーム」「ジャム&マーガリン」(以上160円)、「あん&マーガリン」(170円)など中身のメニューを常時20種近く用意。季節限定メニューもあり、今夏は冷凍フルーツ、生クリーム、あん入りの「あんみつ風」(360円)が一押しという。
隠れた人気は、饅頭屋時代から続く「酒まんじゅう」(90円)。同店ではパンに使うものも含め、餡はすべて自家製。藤谷さんが父親から受け継いだレシピを改良しながら炊き上げている。「お客さんが付いてきてくれるように工夫しながら、昔ながらの味を守っていきたい」と話す。
店舗以外では、都立青梅総合高校や都立多摩高校の購買で販売するほか、保育園や介護施設など10カ所ほどにも卸しているという。
営業時間は9時〜18時半。日・祝日定休。問い合わせは0428(22)2483まで。