執筆協力:市民ライターKさん
自然と真摯に向かい合う、奥多摩のヒロイン。
一度お会いしたら忘れられない存在感を感じるのはそのお名前ばかりでなく、穏やかな語り口の背景にある強い思いだった。
環境省 奥多摩自然保護官事務所 自然保護官 源関 絢さん
「小さい頃から生き物が好きで、小学生の頃は、友達と外で遊ぶのが好きな活発な子供でした。家族が旅行好きだったので、あちこちに連れて行ってもらう機会が多く、色々な自然に触れさせてもらっていました。」
自然保護官は、全国にある国立公園の維持管理や野生動植物の保護などに取り組む環境省の職員。奥多摩の大部分の地域が含まれる秩父多摩甲斐国立公園は東京、埼玉、山梨、長野にまたがる広大な国立公園だが、その現場事務所として計2名の職員が勤務している奥多摩自然保護官事務所がある。
今年の4月から配属となった源関さん。事務所名から受ける固い印象と違い、ご本人は柔らかい雰囲気を感じる。「自然のことを強く意識したのは高校時代の進路を考える頃です。生き物が好きだったので、獣医になりたいと最初は思っていたのですが、そもそも生き物が傷つかない環境を作っていくのが大事で、今ある自然を守ることに携わりたいと思ったのがきっかけでした。」
全国各地に勤務地があり、源関さんも現在の勤務地は6箇所目。前任地の鳥取では、鳥取から京都の日本海岸沿いにある山陰海岸国立公園の自然保護官として働いていた。そんな全国の国立公園を見てきた源関さんにとって、奥多摩の魅力はどんなところにあるか聞いてみた。「首都圏のすぐ近くで、これだけ山に沢に滝に川と、多様な自然環境が残っていることやそれらの自然環境を、登山を始め、動植物の観察、ラフティング、カヌー、SUP等のリバースポーツ、温泉、キャンプ、サイクリング等、色々な方法で体感できることは素敵だと思います。山と一言で言っても、その魅力や見どころは、ひとつひとつの山で違い、また季節によってもその姿は変わっていくので、とても奥深い場所だと感じています。」
少し飛躍し、3か月、自由に時間があるとしたら何がしたい?と投げかけてみたところ。「まだ知らない生き物や景色を探しに、日本や世界を旅したいです。」と話した。
そんな源関さんの今の夢は、「地域の人々とそこにある自然のより良い付き合い方を見つけ、実現すること。そのためにも、今は秩父多摩甲斐国立公園内の自然についてよく知り、地域の人にも頼ってもらえるような保護官を目指したい」と話していた。
秩父多摩甲斐国立公園は、今年で指定70周年を迎える。今ある自然をどのように保全し、そして資源として活用していくか。長い時間を見据えながらのお仕事は、強い思いと細やかな心が必要なのだ。