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日本を代表するフレスコ画家・有田巧さん 

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石灰にゆかりのある青梅にアトリエ構える

アトリエで作品を描き続ける有田さん

青梅にアトリエを構える日本のフレスコ画家を代表する有田巧さんの個展が5月12日〜27日、銀座柳画廊(中央区)で開かれた。

フレスコ画とは、砂と石灰を混ぜ、水で練って出来た漆喰を壁に塗り、その上に水だけで溶いた顔料で絵を描く技法のこと。紀元前数千年前の壁画も残り、紀元前6世紀ころに栄華を極めた古代ローマでは絵画作品の大半が壁画で、その技法がフレスコ画であった。ヨーロッパでは11世紀以降、キリスト教文明と共に教会の内装飾画として著名な作品が数多く残っている。

鳥取県生まれの有田さんは、東京造形大学への進学で上京し卒業後は東京藝術大学大学院へ。美術大学の非常勤講師として学生の引率で初めて訪れたイタリアで、アレッツォの教会に描かれたピエロ・デラ・フランチェスカのフレスコ画「聖十字架伝説」に出会った。「画集では見たことがあったが、本物のゴツゴツとした壁の材質感のあるフレスコ画に、すっかり魅了された」と振り返る。

国内ではフレスコ画をやっている人は身の周りにはいなかったため帰国後、戦前の古い美術雑誌を読み漁り、見様見真似での挑戦を続けた。「漆喰の壁の作り方、砂と石灰の割合など失敗だらけ。左官屋さんに学びながら、何度も何度も。柔らかければ作業はしやすいが割れる。固ければ塗りにくい。悪戦苦闘でした」と目を細める。その後次第にフレスコ画家として白日展、雪梁舍フィレンツェ賞展などで受賞。イタリアのホテルや福祉施設から壁画制作の依頼が来るなど、日本を代表するフレスコ画家となっていった。「フレスコは日本語に訳すと新鮮・濡れているという意味。壁が固まる10時間の間に、一気に描かなければならない。一度描いたら消せない作品作りは大変だが、そこが魅力」と話す。

崇城大学芸術学部の教授就任に伴い熊本県に長くいたが、定年を迎え再び東京へ。学生時代山岳部だった有田さんは、奥多摩、青梅の山にも親しみがあり、石灰生産の歴史もあった青梅に縁を感じ、制作拠点と決めた。有田さんの描く作品のモチーフは、子どもたちが動物や自然と関わるものが多い。自然が豊かな青梅では、近くにある公園で遊ぶ、地元の子どもたちがモデルになることも多いという。「フレスコは今では大学の授業でも学べる。ただ壁作りや時間の制約のある技法のため、中々、それに挑戦する人は少ないんですよ」と笑顔で話していた。

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