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25journal PFAS汚染から命と健康を守る多摩地域市民集会を開催

コラム

 

 

 

執筆協力 編集室システムU okamura.nobuyoshi@gmail.com


 

PFAS汚染から命と健康を守る多摩地域市民集会を開催

「許容基準を欧米並みに引き下げるべき」

PFAS汚染から命と健康を守る多摩地域市民集会が4月19日、立川相互病院講堂(立川市緑町)で開かれた。「多摩地域をはじめ全国に広がるPFAS汚染で、環境省は水質基準と摂取の許容基準を欧米並みに引き下げるべき」との決議を採択した。PFASは一部の物質が有害とされる有機フッ素化合物。

多摩地域のPFAS汚染から命と健康を守る会が主催し、約80人が参加した。はじめに「日本のPFAS汚染・解決すべき課題は何か」をテーマに京都大学名誉教授の小泉昭夫さんが講演した。

解決すべき課題を訴える京大名誉教授の小泉さん

解決すべき課題を訴える京大名誉教授の小泉さん

小泉さんは全国各地でPFASが検出されていることや、懸念される健康被害などに言及。PFASは体内に長く蓄積され、腎臓がんや肝障害など健康への影響が懸念される。医療的ケアだけでなく、体内に入ることの軽減やモニタリングなど「社会的処方」の必要性を訴え、汚染源を特定し、除去することが大事だとした。内閣府食品安全委員会が決定した健康影響の評価書については、「暫定指針値が1リットル当たり50ナノグラムの基準は低い。評価書を変える必要がある」とした。

PFASは航空機火災の消火をする泡消火剤などに含まれている。横田基地では、長年泡消火剤を使った消火訓練を行っており、泡消火剤が数回漏出しているという。多摩東部地域の地下水でPFAS濃度が高いのは、泡消火剤に含まれるPFASが土壌に染み込み地下水に溶け、広がったからと見られる。そのため、地下水を利用した水道水を飲み続けた国分寺市などの住民はPFAS血中濃度が高くなったと考えられる。

決議では、現状では緩すぎる水質基準と摂取の許容基準を欧米並みに引き下げるべきとしたほか、横田基地への立ち入り調査、井戸水・貯水池・土壌の調査実現、多摩地域の地場産野菜の安全性と、学校給食に使われている野菜の安全性を確認する調査などを行うよう求めている。

集会には複数の国会議員や都議会議員が参加した。立憲民主の大河原まさこ衆院議員は「現在の暫定基準値1リットルあたり50ナノグラムのままであることが大問題。小泉さんは環境省が実施した最新のエコチル調査の結果に基づく基準は現在の200分の1になると指摘している。政府は命と健康を守るためのあらゆる施策を総動員すべき」と訴えた。

PFAS の汚染の実態を知り、早期対策の必要性を学んだ

PFAS の汚染の実態を知り、早期対策の必要性を学んだ

PFASをめぐっては多摩各地で市民運動が活発になっている。西多摩地域では4月13日、羽村市のプリモホールゆとろぎで新たに「PFAS汚染から命と健康を守る西多摩の会」が結成総会を開いた。中下裕子弁護士が記念講演した。

環境省が全国水質測定 都府県の242地点で国の暫定指針値超え

環境省は4月25日、2023年度に実施した全国の河川や地下水の水質測定の結果を公表した。PFASは、回答が得られた39都道府県の約2000地点のうち、22都府県の242地点で国の暫定指針値を超えていた。最大値は大阪府摂津市の地下水で、520倍となる1リットル当たり2万6000ナノグラム(ナノは10億分の1)だった。

PFASは工場や米軍基地、自衛隊施設の周辺で検出される事例が多く、摂津市には世界的な空調設備メーカーの工場がある。

コラム執筆者

編集室システムU

西多摩地域を中心とした東京25区管内の政治、行政、経済社会、トピックスなどを配信する「東京25ジャーナル」の編集室。
“地域の今”を切り取ります。

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