多摩川サイクリングロード脇にパリ風の青い小屋
黄色い壺から黄金色の焼き芋
多摩川を目の前にした自宅の前に、鮮やかな青い小屋をしつらえて「焼き芋」を販売しているのは小菅村を故郷にもつ「古菅さん」だった。
「ある日、突然開店された印象でしたが」
「オープンは2021年10月。きっかけは夫の何気ない言葉からでした。テレビを見ていたら美味しそうなお芋が出ていて、夫がやってみれば?って2年続けて言ったんです」
「そもそもお芋が好きだったんですか?」
「大好きということでも無くて(笑)。それでも壺焼きを始めようとなって色々調べました。茨城の業者さんにお世話になって、焼き方をはじめ、農家さんからの仕入れや、炭の種類なども教えてもらいました。それからはとにかく沢山仕入れて、何度も焼いて試し続ける日々」
「種類とか大きさへのこだわりは?」
「品種は小さくても美味しく焼ける、シルクスイートと紅はるか。試しているうちに、サイズは『ハンディサイズが良い』とアドバイスを受けました。自転車のお客様は予想通り、背中のポケットに入れていきます」
「ご苦労も多いとか」
「家族の協力が欠かせません。仕入れ先を探すにも農家さんだけでなく、茨城や千葉のJAさんや道の駅を回ったり、トラックを借りて往復7時間かけて購入したり、そのお芋を腐らせないように保管したり大変なことばっかり。家事もありますから毎日が深夜になりがちです。楽しいという気持ちにはまだならないですけど、美味しいお芋が焼けたときと、お客様が喜んでいるのを見るのは嬉しいですね」
「リピーターさんも増えて、予約も入ってきますね」
「有難いことです。つたないインスタも毎日アップしていますが、お芋情報と天気とか、それを見て来てくださる方もいて。サイクリングやお散歩の方も増えてます。うまくいかない日もありますけど、お客様にもお芋にも誠実でありたいと思っています」
「ご近所で有名な店になりたいですね」
「お芋が好きじゃない方を虜にしたいです。炭とお芋の達人を目指して、見ただけで品質がわかるような〝目利き〞になりたい。そして子供たちが小銭をもって買いに来てくれることが目標です。よく、「これは銀座の壺焼きと同じ美味しさだから、値上げしなさい」と言われますけど駄菓子屋みたいに子供が自分で買えるようにしていたいんです。だって焼き芋じゃないですか。あ、こんなこと言ってたら苦労が見合わないかな。」
息子さん(大修さん)と二人で迎えてくれる「IMOMARU」さんは、懐かしくも珍しい焼き芋屋さん。ぜひ一度訪れてみてください。