東京都の牧場が行う、持続可能な生産への挑戦
自社での飼料生産や、加工品の商品化など注目集める
清水牧場「WESTLAND FARM」/拠点:瑞穂
東京都の牧場である清水牧場。全国でも供給不足からなる飼料の高騰、搾乳量の制限が始まるなど厳しい状況の中、持続可能な酪農業のため、新しい挑戦を続けている。
戦後間もない1946(昭和21)年に創業した清水牧場は現在、90頭余りの乳牛を飼育する。2006(平成18)年には都内で唯一の自動搾乳ロボットを取り入れるなど、先進的な取り組みを行ってきた。現在は、自社の畑や、借りた畑など、9㌶ほどの農地でトウモロコシを栽培。専用の機械を使用し、青刈りした飼料作物を圧縮して、梱包後ラッピングすることで、乳酸発酵させたエサ飼料(サイレージ)をつくっている。また畑の肥料には自社で飼育する牛の牛糞を使用し、循環型の酪農を続けている。
夢だった加工品の開発や販売も2018年に、乳製品のジェラート店「WESTLAND FARM」(瑞穂町長岡長谷部、電話042̶5 5 7̶8 0 77)として開業。「自社だけでなく、瑞穂や西多摩の生産品ブランドの発信、地産地消を」と、瑞穂町の紅茶やほうじ茶、ブルーベリー、トマトなどの他、羽村の米で作った日本酒製造の過程で出る石川酒造の酒粕などを使ったコラボ商品など次々に開発し新しい付加価値創出に挑戦している。
「ジェラート店などで研修を行い、オープン当初以来、ずっと勉強の毎日」と同店の運営を任される清水文さん。スタッフと共に試行錯誤を繰り返し、店頭には16〜18種のメニューを揃え、唯一無二のブランド構築を目指す。「牛も人も、必死になって搾乳した牛乳を、制限のため捨てることはしたくない」と文さん。「最近ではジェラートを贈答品に使いたいという嬉しい声も。もっと広く知って頂く機会を作り、この魅力を伝えていきたい」と話していた。