頻尿と夜間頻尿は全て治療しないといけないですか?
東京西徳洲会病院 腎臓病総合医療センター長 泌尿器科部長 小川 由英
膀胱を健康に保ちましょう
昼夜問わず悩まされる頻尿には治療を要する病気が原因のものも少なくありません。
しかし、病院で診てもらって、原因は無いし、問題ないと云われた場合、むしろ尿を我慢することは好ましくありません。
尿が膀胱内に長時間留まることで、膀胱の病気になることがあるからです。
先月の新聞に、武田薬品が世界規模で販売している糖尿病治療の薬アクトス錠に膀胱癌が発生する危険性があると知りながら、それを隠していたとして裁判所からおよそ6200億円の賠償を命じられたとの記事が出ていました。
膀胱癌は患者さん本人の喫煙が主たる原因ですが家族の喫煙による副流煙もまた原因の一つと言われています。それ以外に、職業性曝露で、塗装業者、印刷業者、化学物質(芳香族アミン)や染料を扱う場合、また、精神安定剤、解熱鎮痛薬、抗癌剤なども膀胱癌を誘発すると云われています。
また、膀胱に作用して、出血性膀胱炎(尿が真っ赤になる)や間質性膀胱炎(膀胱の痛みと30分おき位の頻尿)を起こす薬があります。抗アレルギー薬や抗癌剤が膀胱症状を起こしやすいです。
喫煙や膀胱癌を発生させる薬物に同じように暴露しても、癌になる人とならない人がいます。出血性膀胱炎や間質性膀胱炎を起こす薬剤を服用しても、病気にならない人もいます。
病気になるかならないかは、体質もありますが、尿を頻回にして、膀胱内の尿中発癌物質を早めに排泄することと、水類を多くとって尿を薄くすると病気の危険が避けられます。
東京西徳洲会病院 腎臓病総合医療センター長 泌尿器科部長 小川 由英
現 職
東京西徳洲会病院 腎臓病総合医療センター センター長
東京西徳洲会病院 泌尿器科部長
琉球大学名誉教授
職 歴
1970年4月 慶應義塾大学医学部助手(大越正秋教授)
1976年7月 米国バージニア医科大学 移植血管外科 臨床フェロー(H.M. Lee教授)
1978年7月 筑波大学 腎泌尿器系 講師(北川龍一教授)
1982年7月 順天堂大学 泌尿器科 助教授(北川龍一教授)、慶應義塾大学 泌尿器科 兼任講師(田崎寛教授)
1994年1月 琉球大学 泌尿器科 助教授(大沢炯教授)
1995年4月 琉球大学 泌尿器科 教授 兼 血液浄化療法部長
2008年4月 琉球大学 医学部 名誉教授、東京西徳洲会病院 常勤顧問
お問い合わせは 東京西徳洲会病院 TEL(代表) 042-500-4433