300 余人が門出を祝う
瑞穂町殿ヶ谷の臨済宗建長寺派の古刹、金龍山福正寺で10月26日、新住職就任の儀式「晋山式」が営まれた。新住職は鈴木康文(松風)さん(45)。25年余りお寺を背負ってきた前住職の父、文雄(松龍)さん(74)に代わり、29世住職に就いた。
檀家の江川伸一さん宅に設けられた安下所を出て、康文さんは稚児の先導で住民に見守られながら1㌔近い道を歩き、檀信徒ら300人余りが集まる同寺に到着。山門で覚悟を示す山門偈を行い、本堂に入堂した。
関係諸寺の約130人の僧侶が読経する中、住職辞令が建長寺の吉田正道管長から康文さんに授与された。式では清水寺の森清範貫主の法話が門出に花を添えた。
康文さんは「福正寺を護り、檀信徒や先祖が安らかでいられる場所をつくることが恩返しになる」と決意を表明した。
康文さんはあきる野市の東海大菅生高校13期生。母方の旧秋川市長の近藤秀雄氏は祖父にあたる。亜細亜大法学部、城西国際大人文学部修士を卒業。建長寺で修行し、2006年から福正寺副住職を務め、前住職を支えてきた。
前日には文雄さんの退山式が滞りなく行われた。
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福正寺は寺伝によると普照大光国師を勧請し、1318(文禄二)年に開山した。近隣に多くの末寺を擁し、江戸時代には寺領10石の御朱印状を拝領した。
2018年に開山700年大遠諱法要を執り行い、総門、本堂などを修復する平成の大修復を済ませた。
狭山三十三観音霊場25番札所で、観音堂は同町指定有形文化財、たらようの木は同町指定天然記念物になっている。