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西多摩は、「災害に強い地域」(前) 新たな地域ブランドの確立を

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西多摩は、「災害に強い地域」(前) 新たな地域ブランドの確立を

西多摩は平地で震度5 強、山間地で5 弱

西多摩は平地で震度5 強、山間地で5 弱

西多摩は、「災害に強い地域」という新たな地域ブランドを打ち出せないだろうか。

9月1日の「防災の日」。改めて自然災害について思う機会となった。「わが地域は安全なのか」を考えた人も多いだろう。

青梅市、あきる野市、福生市、羽村市、瑞穂町、日の出町、奥多摩町、檜原村からなる西多摩は、都心から近く、丘陵や台地、山地など多様な地形を有する。強い地盤、低い水害リスク、広い畑地、圏央道による首都圏、全国への高いアクセス網、比較的広い道路、密集が少ない住環境、住民のコミュニティ力などの防災上の特性を持つ。

もちろん、「西多摩全体が安全」と単純化はできない。地域によって地盤条件や浸水、土砂災害などのリスクは異なる。山間部では大雨による土砂災害や道路の寸断、集落の孤立が想定され、河川沿いの低地では浸水への備えも欠かせない。

だからこそ、重要なのは「災害が起きない地域」とアピールすることではなく、地域ごとのリスクを正確に把握し、そのリスクを住民、企業、行政が共有して備えることだ。

 

■「安全」を移住・企業誘致の価値に

全国には、比較的災害リスクが低い地域として知られる都市がある。千葉県印西市は強固な下総台地を背景にデータセンターなどの立地が進み、岡山県も瀬戸内海側の比較的穏やかな気候を地域イメージの1つとして発信している。西多摩にも、こうした地域と同等の強みがある。

大規模災害が発生した場合、都心部と同じ被害を受け難い地域特性を生かし、物資の備蓄や物流、事業継続、避難などの「後方支援拠点」として機能する可能性を持つ。

企業にとっても、災害時に事業を継続できるかどうかは、立地を考える上で重要な要素になっている。

テレワークやサテライトオフィスが定着し、企業の働き方が変化する中、都心から一定の距離を置きながら東京圏の市場や人材にアクセスできる西多摩の立地は、改めて評価できる。

そこで「自然」「交通」「働く環境」に加えて「防災」を地域のセールスポイントとして位置付けたい。

企業誘致においても、「災害時の事業継続を考えた立地」という視点を加えれば、西多摩の新たな競争力になり得る。

 

■ハード整備だけでは「災害に強い地域」にならない

一方で、防災を道路や河川、砂防施設などのハード整備だけに任せることには限界がある。災害発生時に最後に問われるのは、地域にいる一人ひとりが状況を判断し、行動できるかどうかだ。そこで必要になるのが「防災知性」という考え方だ。

これまでの防災訓練は、避難経路や避難場所を確認し、決められた手順に沿って行動することが中心だった。これに加えて、住民自身が地域の地形や災害の特徴を学ぶ機会を増やしたい。

例えば、ハザードマップを単に「危険な場所を示す地図」として見るのではなく、自宅周辺の地形、河川との位置関係、過去の災害履歴、避難所までの経路などと照らし合わせて考える。さらに、気象情報や自治体からの避難情報を基に、「今の状況なら、どのタイミングで、どこへ避難するのか」を自分自身で判断する。

こうした「座学」を地域の防災訓練に取り入れることで、避難訓練の意味も大きく変わってくる。

防災は行政任せではいけない。住民が地域を知り、自ら判断できるようになることが、地域の防災力を底上げするだろう。

 

(次号に続く)

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