「神坐す山の物語」で話題
JR東日本八王子支社は、直木賞作家の浅田次郎氏の物語が生まれる霊山をテーマに、青梅市の御岳山(標高929㍍)の観光開発に取り組んでいくと発表した。第1弾として7月12日に日帰りと1泊2日で、浅田氏本人を御岳山に招き講演や作品の朗読会を開く特別旅行を企画した。
長い文化と歴史、豊かな自然、山上にある宿坊。古くから信仰の山として崇められてきた御岳山には、ミシュランから三ツ星評価を受け、年間260万人が足を運ぶ高尾山にも負けない魅力がある。同支社ではこれまでも御嶽駅を起点にした「駅からハイキング」などを開催してきた。今回は、浅田氏の母方の実家である御岳山の宿坊を舞台に幼少期に氏が聞いた話をまとめ、昨年発売された短編集『神坐す山の物語』が話題となっていることに着目。神秘的な気配に満ちた物語が生まれる背景にある霊山をテーマに観光開発に取り組んでいくことを決めた。
実家は山上に建ち並ぶ宿坊の一つ山香荘。浅田氏は幼少期からたびたび山香荘を訪れていた。『神坐す山の物語』は、少年時代に聞いた伯母の御岳山を舞台にした怪談めいた夜語りが綴られていて興味深く読める。このほか浅田氏の作品には御岳山にまつわるものが数多くある。
特別旅行は「作家・浅田次郎氏が小説で描く御岳山の世界に浸る会」と銘打ち、本人の講演会のほか、作品である奇譚集『あやしうらめしあなかなし』をアナウンサーが朗読する会をメーンに御岳山の魅力を満喫する。日帰りコース(9600円)は50名、1泊2日コース(21500円)は30名募集する。ただし今回は「大人の休日倶楽部」会員が対象。詳細や申し込みは㈱びゅうトラベルサービス(0 3̶3 8 4 1̶0121)で受け付けている。
同社では今後も、宿坊でしか味わえない体験の提案や、武蔵御嶽神社の祭礼・行事などをからめた観光開発に取り組んでいくという。