東京の山々の中でも近年、多くの登山客が訪れる高尾山。その頂上にある高尾ビジターセンターをご存じだろうか。今回はそこで働く佐藤さんの言葉をそのままお届けしたい。
「出身は茨城県牛久市。小さい頃から、自然が〝自然と〞そこにあった感じで。近くの里山で、ザリガニやカエルを取ったり、大学では野生生物研究室に所属していました。先輩がビジターセンターで論文を書いていて、それを手伝っているうちに面白そうだなと」
ー高尾山では動物に簡単に会えるのですか?
「考えごとしてたり、悩みごとがあった時に動物に逢いますね。テンに逢うと、お互いに目が合って『えっ、なに?』って顔でビックリしてる(笑)。『猿が目の前にいるんだけど、どうしたらいい?』など登山者からの電話には『自然優先なので、観察してお待ちください』ってお伝えしています」。
ーこの仕事で大切なことは何ですか?
「大切なことは、高尾山に来てくれる方々の、自然に対する思いの質を上げることだと思います」。ー最近、多くなった外国人登山客はどうですか?
「グローバルすぎて驚きます。本当に行くのか?っていう距離まで行こうとしてたり。6号路を裸足で歩いているとか。細かいところを気にしないのですが、自分も小さくまとまってはいけないなって」。
ーお金も時間も好きにして良い、と言われたら何をしたいですか。
「ずっと自然の中で過ごすこと。ロングトレイルや、ヨガを森の中でやっている方の話を伺うと、自分と自然の境目がなくなるらしいんです。私はまだその感覚になったことが無いので体験してみたい」
ー登山初心者にアドバイスをお願いします。
「行きたくなったら行く。高尾山なら、そんなに重厚な支度もいらないし。まずビジターセンターにお立ち寄りください。頂上に着いたら、ここで休んだり、おしゃべりしていって欲しいですね」
高尾ビジターセンターには、佐藤さんを含めて10名程のスタッフが、登山者を迎えている。いずれも自然のプロながら、優しく穏やかな方ばかり。気軽に立ち寄れる心強い場所として、四方山話をしたいものだ。
高尾ビジターセンター: