母の味、独学で再現
あきる野市二宮の「玉泉寺」で、毎月28日に開かれる「そば打ち」教室が評判を呼んでいる。主宰するのは同市二宮在住で植木職人の石川典宏さん(79)。50年ほど前のある日、母親が作ってくれたそばの味を再現しようと見よう見まねでそば打ちを始めた。専門の本などが出ていない当時、その奥深さに魅了された石川さんは試行錯誤を繰り返し、独学で学んだ。
そば粉もさまざまな種類を試した結果、「朝と夕方、霧が舞う畑で育ったものが香り高くうまい」と分かり、群馬県の赤城山近くにある農家から直接仕入れてきた。 同寺の役員だった石川さんは年に1度の集まりの際に、そばを提供したところ、「うまい」「教えてほしい」と声が寄せられた。4年前からそば打ち教室を開催。「教室で作ったら他の店で食べられなくなる」と口コミで広がり参加者が増えていった。
参加者の1人、細谷俊夫さんは「水の入れ方一つで失敗するので本当に難しい。だけど自分で打ったそばを食べるとやめられない」と笑顔で話す。
参加費は、石川さんこだわりのそば粉代500円のみ。「商売じゃないから、こだわれるんだよ」と石川さん。「自分で研究して作ったそばは格別。みなさんに体験してほしい」と目を細めた。
教室に関する問い合わせは同寺042(558)2918へ。