地域の中で産み育てる
福生市にお産婆の家として60年続いている森田助産院があります。院長は2代目となる森田玲子さん。助産師歴は46年。とりあげた赤ちゃんは3000人を超えました。娘の今村理恵子さんも助産師となり20年。家族で命の誕生の手助けをしています。
森田院長が自らの出産を経験して感じたことは、「助産師は病院の中ではなく、地域の中にあるべき」ということでした。「助産師として、地域の中でお母さんたちと共に歩み、産後も頼りになる存在としてありたいの。子どもはみんなで育てていくべきよ」。森田院長のすべてを包み込むような温かさに、出産後も子どもをつれて話しに通う人も多いのだそう。
「子育てって、産んでからではなくて妊娠した時から始まるのよ。お腹の中から子どもが発していることを感じ取って欲しい。お腹の子どもと向き合って妊娠期間を過ごすことで産後の備えになるんだから。妊娠後期は夜眠れなくて大変。よく相談に来るお母さんもいるんだけど、それは当たり前のこと!産後育児の準備期間なのよ。産まれたらもっと眠れないでしょう(笑)」。
これから出産を迎えるお母さんに森田院長が伝えたいこと。それは、子どもを感じながら出産する ということ。
「出産する母親だけが頑張って産むんじゃないのよ。狭い狭い産道を通ってくる赤ちゃんだってすごく大変なの。産むべき時を選び、それを発信している。その赤ちゃんを感じ取りながら出産するの。パートナーや家族の存在も大切。自分が自分がじゃなくて、みんなで力を合わせて頑張ったんだという、感謝の気持ちが生まれるようなお産であって欲しいの。助産師はそのために、知識や技を提供するのよ。二度と産みたくない!そんな思いは絶対にさせたくないのよ」。
森田助産院では、みんなで力を合わせて、笑顔でその人らしい出産ができるように、産むスタイルも場所も人それぞれ。旦那さんはもちろん、上の子も出産に立ち会えます。
命の誕生を見守り続ける人の言葉は、とても重みがあり温かく心に響きました。