東京西徳洲会病院 心臓血管外科部長 須田 優司
『意外としられていない下肢静脈瘤のはなし―その1』
心臓血管外科医である私は、生命にかかわる心臓の手術から、手足の血管の手術までを行います。最近、外来に足がかゆくて、段々色が変わってきて、2年も治らないという70代の女性が来院されました。拝見すると右の内くるぶしから、すねの内側が茶褐色に変色して、皮膚が厚くなって、それより膝側のふくらはぎには血管がところどころ飛び出すように隆起していました。
明らかに下肢静脈瘤の所見です。レーザー治療を行うと、かゆみはなくなり、色も徐々に改善しました。
下肢静脈瘤は、血管がボコボコ出っ張ってくるだけではなく、次のような症状の場合があります。①足に茶褐色の色がついてきて段々広がる②くもの巣のように赤く血管が透けて見える③足(ゆびではない部分)の乾燥、かゆみがある④寝ている間に足がつる⑤足がだるく重い⑥足がむくむ(靴下の跡が気になる。靴がきつく感じる)。
また次の様な方に多く見られます①立ちっぱなしなど同じ姿勢の仕事をしている②出産経験が複数回ある③親類にも同じような人がいる。気になる方は一度、専門医にご相談下さい。次回は病気のメカニズムと治療法についてお話します。
東京西徳洲会病院 心臓血管外科部長 須田 優司
経 歴
信州大学医学部卒
東京女子医大第二病院心臓血管外科
東京厚生年金病院 外科
関東逓信病院 心臓血管外科
東京女子医大第二病院(現東医療センター) 心臓血管外科講師
Baylor College of Medicine, Surgery
資 格
心臓血管外科専門医
日本胸部外科学会認定医/指導医
日本外科学会専門医/指導医
日本循環器学会認定医
医学博士