新着記事

公立阿伎留医療センター創設100周年

お役立ち 地域

公立阿伎留医療センター(根東義明企業長・院長、あきる野市引田)が今年、企業団(組合)創設100年を迎えた。1世紀に渡り、秋川流域の基幹病院として地域医療に貢献、住民の命と健康を守ってきた。2年後には病院開院100年になる。同医療センターは現在、100年の発展を土台に、新たな改革プラン(経営強化プラン)の策定を進めており、持続可能な地域医療提供体制の確保に努力していく。

 (岡村信良)

良質の医療を実践し、地域医療の最適化に努力

1923(大正12)年6月9日、当時の西秋留村、多西村、平井村、増戸村、五日市町の5町村が「西秋留村外四ケ町村病院組合」を設立し、東京府より設置許可を受けた。初代管理者には西秋留村長の瀬沼利氏氏が就任。24(大正13)年12月21日、西秋留村引田字阿伎野13番地に伝染病院を建設し、落成式を挙行した。25(大正14)年4月10日、伝染病床21床を備えた同医療センターの前身、単独伝染病院が開院した。初代院長には東京府立駒込病院から犬塚道夫氏が赴任した。

33(昭和8)年11月3日には東秋留村と大久野村が組合に加入。これを契機に組合の名称を「阿伎留病院組合」に改めた。

明治時代から大正時代、赤痢、疫痢、腸チフス、パラチフスなどの消化器系伝染病、猩紅熱、ジフテリアなどの呼吸器系伝染病が地域に蔓延し、多くの若い命が隔離病舎で奪われた。この状況を深く憂慮した瀬沼氏は資財を投じて近代病院の建設に情熱を注いだ。

病院組合が創設を迎えた5年前、18年(大正7 年)から3 年余り「スペイン風邪」が世界的に猛威を振るった。死亡者数は、世界全体で2000万人から4500万人、日本では38万人から45万人と推定された。歴史は繰り返され、2020年初頭から続いた新型コロナウイルスとの戦いは、今年5月8日、感染症法上の分類が季節性インフルエンザと同等の5類に引き下げられ、コロナ対応は出口を迎えた。

同医療センターは、ドライブスルー方式によるPCR検査センターと発熱外来に対応、軽症・中等症対象の感染症専用病棟を設置し、新型コロナ患者を受け入れ、奮闘した。地域の新型コロナウイルス感染症患者受入の需要がある限り受け入れ、 地域との繋がりを強化し、地域へ安心感を届ける公立病院の使命を果たしたことは、伝染病蔓延に警鐘を鳴らし、多くの命を救おうと創設、開院に至った同医療センターの原点に通じるものだった。

ちなみに100年前の社会は、「大正デモクラシー」「大正ロマン」という言葉に代表されるように、政治や文化の面で大きな変化を遂げた時代だった。一方で、第1次世界大戦( 1 9 1 4 〜1918年)後の不況のなか、23年9月1日には死者が10万人を超えた関東大震災に見舞われるなど混乱の時代でもあった。

同医療センターは戦後、秋川流域の発展を追うように病院としての役割を変え、規模を拡大。52(昭和27)年は一般6 床、結核114床、伝染55床だったが、69(昭和44)年は一般140床、結核56床、伝染34床になった。

70(昭和45)年に医療施設・設備の改善のため3カ年計画に基づき新病院建設に着手。併せて秋多町引田78番地の新病院に移転し、診療業務を開始した。73(昭和48)年に防音改築第3 期工事を完了。同年、「総合病院」の承認を受けた。

社会の進展、最適な医療を目指す中で、その後も増改築を繰り返してきたが、99(平成11)年、公立阿伎留病院建設検討委員会を設置。2 0 0 4( 平成16)年に公立阿伎留病院建設工事に着手。06年(平成18)年、建設工事が竣工した。病院の名称を現在の公立阿伎留医療センターに改め、新病棟がオープンした。

この間、95(平成7)年にMRI(1・5テスラ) を、96( 平成8)年にコンピューテッド・ラジオグラフィー(CR)と高速らせん型全身用CTスキャナーを相次いで導入、97(平成9)年には多目的血管撮影装置を新設、X線テレビ装置の増設を行うなど先端医療機器の充実を図ってきた。

新病棟をオープン後も、緩和ケア病棟の開設、院内助産所及び助産師外来の開設、消化器病センターの開設、回復期リハビリテーション病棟の開設、地域包括ケア病棟の開設などに取り組み、西多摩の中核医療施設としての機能強化に努めてきた。2 0 1 3( 平成25)年には阿伎留病院企業団に組織変更した。

また、15(平成27)年、財団法人日本医療機能評価機構から病院機能評価(3rdG:Ver.1.1)一般病院2(200〜499床)(主たる機能)、緩和ケア病院(副機能)の認定を受けた。

10(平成22)年には地域住民にとって親しみやすく信頼される病院であって欲しいと、市民有志が「公立阿伎留医療センターを育てる会」を立ち上げた。法人会員、一般会員を募り、センターの療養環境の整備や社会啓発活動などを通し、公立阿伎留医療センターの発展を陰ながら支援している。

同医療センターは3万2211平方㍍の敷地に、本館(地上6階地下1階)、別館(地上2階)、多目的棟(地上2階)が建つ。延床面積は計2万8035平方㍍になる。

診療科目は、内科、神経内科、呼吸器内科、消化器内科、循環器内科、腎臓内科、リウマチ科、小児科、外科、乳腺外科、呼吸器外科、整形外科、脳神経外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、麻酔科、歯科口腔外科の計22科を備える。このほか、院内標榜科目として、総合内科、生活習慣病内科、救急科、緩和治療科がある。病床数は305床。1日平均の患者数は外来579人、入院158人、平均在院日数は12日になる(令和4年度)。

22(令和4)年、患者よし、世間よし、病院よしの〝三方よし〞の医療哲学を実践した荒川泰行企業長の後任として根東義明企業長が就任。最新のデジタル・トランスフォーメーション(DX)時代に積極的に対応するなど良質の医療の実践に邁進。併せて、「公立病院経営強化プラン」策定に取り組み、持続可能な地域医療提供体制の確保に全力を挙げる。25(令和7)年の開院100年の前年には、高精度ながん放射線治療が可能になる医療装置「MRリニアックシステム」を導入し、治療体制の拡充を図っていく。

1世紀に渡り住民の命と健康守る

◆診察受付時間は午前8時~ 11 時30 分(月曜日~金曜日)、休診日土曜・日曜・祝日・年末年始(12 月29 日~1月3日)

創設100 周年に寄せて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

阿伎留企業団企業長 

公立阿伎留医療センター

院長 根東義明

阿伎留病院企業団企業長、公立阿伎留医療センターの院長として、公立阿伎留医療センター創設100周年をお祝い申し上げます。

当院は、秋川流域の地域中核病院として、健診・ワクチンなどの予防医療や生活習慣病の治療をはじめ、循環器・脳血管・整形外科疾患をはじめとする2次救急医療、がん診療などの各科専門診療、回復期リハビリテーション、地域包括ケア、そして緩和医療から歯科診療にいたるまで、様々な分野で地域の皆様の健康を守る役割を果たしてきました。また、この間のコロナ禍でも多くの入院・外来患者を受け入れ、地域の皆様とともに多くの苦労を共にしてまいりました。

現在、医療経営の環境はますます厳しさを増し、社会全体のデジタル化や医療費節減の波は、すでに当院にも大きく押し寄せています。しかし、私たちは地域の皆様の健康を守るために、これからもさらなる努力を惜しまず取り組んでまいります。

創設100周年を迎えるこの節目に、私たちは過去の功績に感謝し、院内外のD X、働き方改革、そして経費節減にも正面から向き合います。院内の業務体制の改善をこれまで以上に推し進めてまいります。そして、地域の中核病院としての自覚をもち、一層研鑽し、常に最新の医療技術をもって最適な医療を地域の皆様にお届けしていく覚悟です。これからも、地域の皆様の暖かいご支援をお願い申し上げます。

創設100周年 祝辞

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

流域の保健医療確保と質を向上 

あきる野市長 

中嶋 博幸

公立阿伎留医療センターが、企業団(組合)創設100周年を迎えられたことを心よりお慶び申し上げます。 貴企業団は、大正12年6月に組合を設立されて以来、秋川流域の保健医療の確保と質の向上を図り、地域社会の発展に寄与されてきました。また、伝染病院を開院した当初の理念を継承し、新型コロナウイルス感染症対策にも迅速に対応されましたことに感謝申し上げます。

市では、健康寿命の延伸を図るため、各種健康診査やがん検診などの受診率向上に取り組んでおり、公立阿伎留医療センターには、市民が身近な地域で安心して適切な医療や検診が受けられるよう、DXの推進による医療提供体制の強化と予防医療の実践に期待をしております。

結びに、公立阿伎留医療センターのますますのご発展と企業団(組合)を支える関係者皆様の一層のご活躍を祈念いたしまして、お祝いの言葉といたします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地域医療の最適化へ日々努力   

檜原村長 

吉本昂二

公立阿伎留医療センター創設100周年を迎えられ、誠におめでとうございます。また、このような喜びの節目を迎えられましたことは、企業長をはじめ、職員の皆様や多くの方々のご努力の積み重ねの成果と、お慶び申し上げます。

100年と申しますが、阿伎留病院企業団への変更や新型コロナウイルス感染症感染対策等、いくつもの困難がありそのたびに構成市町村との連携の要として地域医療の最適化のために日々のご努力と工夫があったこととご推察いたします。

檜原村においては少子高齢化などの課題に直面しています。良質の医療の実践に向けて、構成市町村としても公立阿伎留医療センターの皆様と一緒に取り組んでまいりたいと考えております。

各市町村の住民の厚い信頼のもと地域における地域医療の重要な役割を果たしていただく事を心からお願い申し上げるとともに、益々のご発展と皆様のご健勝を祈念申し上げましてお祝いの言葉とさせていただきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

持続可能な地域医療体制を確保 

日の出町長 

田村みさ子

公立阿伎留医療センターが企業団創設100周年という大きな節目を迎えられましたこと、心よりお慶び申し上げます。

貴院は、大正12年に設立されて以来、地域の基幹的な医療機関として、地域住民の安全安心な生活を支えていただいております。

この間、秋川流域の発展と共に質の高い地域医療の提供と確保に取り組んでこられた事に深く敬意を表する次第です。

急激な人口減少・超高齢社会の進展に加え、疾病構造の変革する中、健康寿命の延伸に向けた様々な対策が求められますが、創設100周年を新たな契機とされ、これからもDXによる業務最適化の推進への取り組みをはじめ、がん治療の体制整備、予防医療の充実等、持続可能な地域医療体制を確保され、更なる飛躍と発展を遂げられますこと並びに皆様の益々のご健勝とご活躍を祈念申し上げまして、お祝いの言葉とさせていただきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新型コロナ積極的患者受け入れに敬意

阿伎留病院企業団議会議長 

清水晃

阿伎留病院企業団が創立100周年を迎えられましたこと心よりお慶び申し上げます。阿伎留病院企業団は、大正12年の病院組合設立、大正14年の伝染病院開院に始まり、現在は公立阿伎留医療センターの経営を行っておりますが、これまでの厳しい医療情勢の中、様々な苦難があったのではと推察いたします。

最近では、新型コロナウイルス感染症の対応として、積極的に地域の患者受入れに尽力されており、職員並びに関係者の皆様には敬意と感謝の念に堪えません。

公立阿伎留医療センターは秋川流域唯一の急性期病院であり、多くの地域住民が頼りにしております。企業団議会も住民代表として、引き続き阿伎留病院企業団の運営に協力してまいります。

阿伎留病院企業団が、地域の中核病院の経営母体として益々ご発展されることをご祈念申し上げます。

Copyright© 街プレ -東京・西多摩の地域情報サイト- , 2024 All Rights Reserved Powered by STINGER.