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コラム


~東京の森から~ 東京チェンソーズ
檜原村の林業会社「東京チェンソーズ」が、

街プレ読者の皆様にお届けする東京グリーンプレス!

毎日、西多摩の山々で暮らす僕たちが、リアルな西多摩の自然の姿をお届けします。

雪起こし

5月いっぱい、わたしたちは〝雪起こし〞という作業をしていました。雪起こしとは、降った雪の重みで倒れてしまった木を、紐などを結んで引いて鉛直に起こす作業のことです。庭木などでも、倒れたり傾いたものを紐で支柱にくくりつけ直立させたりすることがあると思いますが、同じようなことです。

腕を使って苗木を少し起こし気味にすると結びやすい

2月の大雪は山にけっこう深刻なダメージを与えていて、植栽からまもない若い木はかなりの率で倒れてしまっていたのです。

わたしたちが作業したのは、植えてから3年目のスギ・ヒノキの山。あきる野市と檜原村の2現場で、合わせて10ヘクタールあります。どちらも昨年の夏、下刈りをしたお馴染みの山です。ヒノキの被害がとりわけひどく、8割がたが前のめりに倒れていました。同じ針葉樹でもスギにくらべヒノキの方が葉が広く、そのぶん雪を多く受け止めてしまったからのようです。はじめに下見で山を訪れ、そのすがたを見たときは愕然としてしまいました。

作業に当たってまず、地元・檜原村の大先輩から雪起こしの方法を習いました。キャリアがせいぜい10年のわたしたち、じつは雪起こしをしたことがなかったのです。

じっさいの作業もベテランの方たちにご教授いただきながらとなりました。村のシルバー人材センターに登録している方のなかにも、かつて雪起こしを経験された方がいて、いろいろと勉強になりました。人によって若干方法にちがいがあるのですが、いい木にするという目的は一緒。大げさかもしれませんが、これも技術の伝承だと思いました。

 

 

 

雪起こしはけっこう難しく、1本ごとの倒れ方・傾き方に合わせて起こす加減を変えます。そのため、一概には行かないのです。しかし、木が本格的に成長する夏前に作業しないと、根本は倒れたまま、先端だけが太陽を求めて上を向く〝し〞の字のように曲がった木になってしまいます。そうしないために、しっかり、そして早い作業が求められます。

きちんと立ち直ってくれるよう願ってます!

 

コラム執筆者

東京チェンソーズ

今日も森にいます
株式会社 東京チェンソーズ
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