秋留台地はその特徴ある地形から、段丘崖からの湧水が点在する。湧水やその流れが、うっそうとした森を作り、夏でも清涼感を漂わせる場所がいくつかある。これらの場所は、古くから人が暮らし、寺社が建てられたり、古道が通った、という所が多い。
●上代継の白瀧神社は、睦橋通りの直ぐ下から水が湧き、辺りはうっそうとした木々に覆われている。夏でも涼しさを誘う場所である。流れ出した水は小川となり、これもまた段丘崖から水が湧く眞城寺からの小川と合流し、金松寺の境内を流れ、秋川沿いの水田に向かう。白瀧神社の直ぐ上の道は、かつての伊奈道だ。
●雨間の地蔵院の前を流れる小川は、白瀧神社より1キロメートルほど東の睦橋通り近くで湧いている水の流れだ。地蔵院へ向かう途中には、こんもりとした小さい谷が現存する。この谷の直ぐ上の道は、これもかつての伊奈道だという。地蔵院はこの伊奈道と、羽村方面からの鎌倉街道が門前を通り、小川は門前で鎌倉街道に沿うように、南方に流れを変え秋川に向かう。地蔵院は鎌倉時代に遡る歴史を持つ古刹である。
●山田大橋から見下ろす位置にある足利氏ゆかりの寺、瑞雲寺。この寺の裏手の段丘崖から水が湧き、本堂の裏手は池に囲まれている。寺の東方の道はかつての鎌倉街道で、近く山田の堰付近で秋川を渡った。対岸の網代は古甲州道も通った場所。
●二宮神社のお池と、小川の八雲神社境内の池は、ともに東京名湧水57選に指定されているもの。両湧水とも雰囲気ある小川を作っている。八雲神社湧水の流れ舞知川(もうちがわ)は「小川」の地名の由来で、小川牧、小川氏とも関連する、という説もあり、この地の歴史を象徴する湧水の流れ、といえる。