数滴で気分は森の中
そのオイルを湯船に数滴垂らすと、浴室にヒノキの香りが広がる。森に包まれた気分になる。檜原村小岩の古民家を改装した蒸留所で、檜原の木と集落を流れる清水を使って抽出した、100%檜原産のヒノキオイルだ。面積の93%を森林が占める同村で、村を象徴する商品ができた。
オイルを商品化したのは㈱ウッドボックス(山口雄二社長)。村の企(起)業誘致制度を利用し昨年3月、同地に蒸留所を構えた。築100年を超える古民家の1階に10基の釜を設置し、ヒノキの幹・葉とクロモジから水蒸気蒸留の手法でオイルを抽出。1カ月2000本を目標に瓶詰め、販売している。
会社の設立は2008年に遡る。精密電子計測器エンジニアの山口社長(62)が、ジャンルを問わず「ものづくり」で身を立てる事業体として同社を立ち上げた。ヒノキオイルは東京・檜原産ヒノキを使った新事業として社員の吉田光世さんが担当している。
吉田さんは同社が運営する三鷹市のものづくり工房で催事を担当した際、会場で市販のヒノキオイルを使用し来場者に喜ばれた経験から、オイルの自作を思い立った。独学でオイルの抽出方法や成分などを学び、試作を重ねて商品化を実現。山口社長も釜の改良などで新事業を後押しした。
天然精油は抽出後、1年寝かせて流通させるのが通常だが、同社では採りたてのフレッシュな香りも楽しんでほしいと鮮度の高い「新精油」も販売する。目下のテーマは「オイルの固形化」で、香りを吸着させた固形の商品も間もなく販売予定という。
ヒノキオイルは同社蒸留所、村役場内喫茶店「せせらぎ」などで販売中。木製ノベルティ付きで5㍉㍑税別1000円〜。同社のホームページで詳細が見られる。(提供:西の風新聞)