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『つながる地域医療ですべての人に健康と福祉を』

SDGs 地域

地域医療機関の連携、情報共有大切
「生命だけは平等だ」掲げる徳洲会の2病院長が講演

医療フォーラム開く

東京西徳洲会病院名誉院長の渡部和巨氏

武蔵野徳洲会病院院長の桶川隆嗣氏

東京SDGS『つながる地域医療ですべての人に健康と福祉を』をテーマにした医療フォーラムが4月26日、ホテルエミシア東京立川であった。徳洲会グループの東京西徳洲会病院名誉院長の渡部和巨氏と武蔵野徳洲会病院院長の桶川隆嗣氏が講師を務め、高齢化が加速する中、地域医療機関の連携と情報共有の必要性はますます高まるとし、高度医療の提供、医療の質の向上、地域完結型医療の実現を進めることの大切さを訴えた。医療・福祉関係を中心に行政や一般企業など約70社、100人ほどが傾聴した。つながる医療と福祉実行委員会(東京徳友会・健康友の会・一社バリューアップジャパン)が主催し、一般社団法人徳洲会東京本部が共催。東京都などが後援した= 後援団体は文末に掲載

渡部氏は、新型コロナウイルス感染症対応の経験から、地域医療機関の情報共有の大切さを訴えた。

東京西徳洲会病院では2020年9月に発熱外来棟を設置。抗体検査を実施するとともに、発熱患者の対応に当たった。検査は22年の第7波のピーク時には1日500人を大きく超えた。23区からの発熱者にも対応し、年間では8万6000人超を検査した。

明けても暮れてもコロナウイルスとの戦いの中で、同病院は同じ北多摩西部2次保健医療圏にある他の病院と毎週のように情報交換会を行い、共有した情報をパソコンで確認できるようにし、医療の効率化を図った。後方病院と連携できたことが効果的だったとし、今後はより多くの病院との連携を進めたいと振り返った。

徳洲会グループは創設者の徳田虎雄初代理事長の「生命だけは平等だ」の哲学の下、いつでも、どこでも、誰でもが最善の医療を受けられる社会を目指し、救命救急、予防・慢性、先進などの各医療分野で、住民の要望に応える医療を実践し、全国各地で信頼と実績を重ねている。

北多摩西部2次保健医療圏には約65万人が暮らし、半径10㌔圏内では160万人にのぼる。今後も医療の需要は減らず、増すことが予想される。不足する病床を確保し、救急医療などの体制をしっかり整え、全ての人に加療できる病院を目指すとした。

また、徳洲会グループには圏央道沿いに複数の病院があり、25年に圏央道が全線開通すれば、ネットワークはより強固になり、大きな取り組みも可能になるとの展望を示した。

「世界200カ国に病院を建設する」とした徳田初代理事長は03年 、「アフリカにおける医療外交、技術移転、医療インフラの整備」 について語り、medicaldiplomacy ( 医療外交) の重要性を指摘。同年、タンザニア、ウガンダ、セネガルなどと覚書を交わした。タンザニアでは18年3月に腎移植がスタートし、 症例を重ねているとした。覚書は現在、28カ国に及ぶという。

このほか、徳洲会グループの75の病院では、国際的な医療機能評価のJCI認証取得と更新を積極的に進め、これまで東京西をはじめ湘南鎌倉、葉山ハートセンター、札幌東、南部、湘南藤沢、中部、岸和田、福岡、千葉西、八尾の11病院が取得したことを紹介。「医療の質と患者の安全の継続的な改善」に前向きに取り組むとともに、徳田哲学の「生命だけは平等だ」を世界で理解してもらう機会になっているとした。

桶川氏は、北多摩北部2次保健医療圏にある西東京市は、徳洲会武蔵野病院を含め5つの病院がある激戦区で、人口はあまり減少せず、高齢化が進み、循環器系や糖尿病患者の増加が見込まれると指摘。この中で武蔵野病院は、かかりつけ病院として急性期医療を担うほか、治療後も在宅診療、訪問看護を行い、子育て支援から人生の終末期支援まで、地域住民のニーズに対応した総合的な取り組みに力を入れていくとした。また、西東京市はもちろん隣接市の病院、医師会との医療連携を進め、地域包括ケアシステムの一翼を担いたいとした。

医療の質の大切さにも言及。感染をしっかり管理するなど患者の安全確保はもとより、健康リスクを除去できるようゲノム医療を含めた健診の提供を進めるとした。

年間3000件以上受け入れている救急搬送は今後、4000件、5000件をこなすほか、国産手術支援ロボット「hinotori」を東日本でいち早く導入するなど必要な新しい機器を揃え、最先端の医療の提供を目指すとした。このほかスマフォを使った問診票の記入などDX化を進め、待ち時間の短縮などにつなげるとした。

正しい医療、正しい姿勢の医療現場には人も集まり、運営も上手くいく。これからの努力で未来は決まるもの。「武蔵野病院なら最後まで診てもらえる」と地域住民に慕われる病院を目指したいと締めくくった。

医療講演に先立ち、警視庁立川警察署の野口寛之生活安全課長が「特殊詐欺の被害状況」を語った。特殊詐欺はコロナ後に増加傾向に転じる可能性がある。立川署内では2022年に70件、計1億3000万円の被害が出た。ほとんどがオレオレ詐欺とキャッシュカード詐欺で、被害者の大半は後期高齢者だった。地域社会が一丸となって詐欺犯罪に厳しい目を向けてほしいと訴えた。

立川警察署の野口寛之生活安全課長が「特殊詐欺の被害状況」を語る

開会で樋口昭久実行委員長(一社バリューアップジャパン代表理事)は「多摩地域にとって、少子高齢化が進む中、地域医療と福祉の連携ニーズはますます高まっており、対応が喫緊の課題となっている。フォーラムを通じて、地域医療の課題に対する意識を高め、多摩地域が抱える特有の問題に対処するための具体的な取り組みを皆さまと共有し、課題解決へ向けた意見交換や具体的な取り組みを進めたい」とあいさつ。一社徳洲会の石川一郎本部長は「徳洲会の理念・哲学である生命だけは平等だ、いつでも、どこでも、誰でもが最善の医療を受けられる社会の実現は、行政、企業、地域社会、医療などの各分野が連携して築いていくもの。徳洲会は医療の面で貢献したい」と訴えた。

樋口昭久実行委員長

一社徳洲会の石川一郎本部長

※後援団体は東京都のほか次の通り。立川市・昭島市・西東京市・立川警察署・昭島警察署・田無警察署・立川商工会議所・立川法人会・東村山法人会・青梅法人会

約70 社、100 人ほどが傾聴

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