年間2000人近くが訪れる、癒しの体験「奥多摩森林セラピー」
おくたま地域振興財団が提供する「奥多摩森林セラピー」。心と身体を癒す体験は口コミで評判が広がり昨年度、WEBでの一般募集、企業との福利厚生契約事業ツアー、オーダーメイドのプライベートツアー合わせてツアー数約200回、参加者数は年間約1950名となった。
森林の持つこれらの癒し効果は、これまでも「森林浴」として親しまれてきたが、効果については感覚的にしか語られてこなかった。現代社会でストレスが大きな問題になる中、2004年に、森林浴の効果研究のため産官学の連携により「森林セラピー研究会」が発足。日本医科大学の臨床教授であり医学博士・医師の李卿らにより生理・心理・物理実験を重ねた結果、唾液の中のコルチゾールという「ストレスホルモン」が都市部に比べ、森林では濃度が低くなることがわかった。心拍の「ゆらぎ」の測定では、森林ではストレスの高い時に高まる「交感神経活動」が抑制され、リラックスした時に高まる「副交感神経活動」が昂進。脳の前頭前野の活動が鎮静化しリラックスすることがわかり、免疫機能についても2泊3日の森林浴でNK活性(ナチュラルキラー活性)が高まることが実証された。
「癒し」効果の検証等がなされた森を「森林セラピー基地」「森林セラピーロード」として認定。奥多摩のセラピーロードは全5コースあり、森林セラピー専用コースとして設計された「香りの道登計トレイル」をはじめ、湖畔沿いのフラットなコース「奥多摩湖いこいの路」、渓谷沿いのコース「鳩ノ巣渓谷遊歩道」、旧街道「奥多摩むかし道」のコース、一般登山道を利用した「百尋ノ滝探勝路」など、手軽なものから本格的なものまでバリエーションを持つ。
ガイドを行うのは「森林セラピーアシスター」という認定ガイドで、奥多摩町による養成講習会を受講し、検定試験の合格、自然・郷土史・医療等の知識を備える。上級救急救命以上の資格を持つほか、バードウォッチングや登山、ヨガ、アロマの講師、鍼灸師などユニークなスキルを持つガイドも。在籍する37人は、奥多摩だけでなく都心や神奈川など、各所から集まっている。
モデルツアーとして、奥多摩駅集合の後、ガイダンスと血圧測定(オプション)。森林セラピーアシスターと共に森林セラピーロードを歩き昼食。ガイドウォーク中にはオリジナルブレンドハーブティーと手作りクッキーが提供される「森のティータイム」、医師の服部幹彦先生監修の呼吸法で、森林からのフィトンチッドを積極的に摂取し、健康増進を図る「奥多摩式森林呼吸法」を実施。最後に再度血圧測定(オプション)などを行う。
「奥多摩町は全域が秩父多摩甲斐国立公園内にあり、町の面積のうち94%が森林。都市の喧騒を離れて、自然環境に身を置くことで、心身をリフレッシュして帰る事ができる、東京の身近な裏山」と同財団の白田武司さん。「森林セラピーのほか、初心者向けの登山ツアーなど、奥多摩の自然を楽しむツアーも用意しているので、是非気軽に体験してみてほしい」と話していた。