高峯山天寧寺で晋山 37世住職に沖祐昭さん
青梅市根ケ布の高峯山天寧寺で5月11日、新住職就任の儀式「晋山式」(しんざんしき)が営まれた。新住職は沖祐昭さん。31年間、同寺を背負ってきた前住職で義父の昭彦さんに代わり、37世住職に就いた。(岡村信良)
「人に寄り添う寺でありたい」
檀信徒筆頭総代の数野國明さん宅に設けられた安下処(あんげしょ)で支度を整え、寺に向かう祐昭新住職らの行列が根ヶ布自治会館を出発、町内を練り歩いた。
華やかな衣装に男児は烏帽子(え ぼし)、女児は宝冠をかぶった稚児を先頭に、随伴する僧侶、大傘を差し掛けられた祐昭新住職や檀信徒代表らが列を成して進んだ。
祐昭新住職は山門で住職としての心構えを述べて、本堂に上殿。須弥壇(しゅみだん)に上り、本尊の釈迦牟尼仏、達磨大師、歴代の住職に報恩感謝の誠を捧げた。その後、永年研鑽を積み重ねてきた学徳、力量で、鋭い問答を取り交わした。天寧寺の本寺に当たる山梨県の廣厳院、林光雄老師から「問答はしっかりしたもの」との承認を受け、曹洞宗東京都宗務所長の大辻徳彦老師から辞令を受けた。
首座法戦式、退董式も厳かに
本山の永平寺、総持寺の両寺管首代理ら来賓、寺関係者、檀信徒ら450人が式に列席し、新住職の誕生を晴れやかな思いで見守った。
祐昭新住職は「お釈迦様の布教の基本である、人の人格、年齢、教養、性質、まわりの環境などをよく知った上で、その人が理解できるように法を説く対機説法を大切に、現代に即した教えを模索しながら、人に寄り添う寺でありたい」と決意を述べた。
当日は、修行僧をけん引する者が必ず通るべき関門となる首しゅそほっせんしき座法戦式も行われ、祐昭新住職の長男の真祐さんが10人の修行僧と問答を交わし、首座としての力量を示した。前日には昭彦さんが住職を退任する退たいとうしき董式が厳かに行われた。
同寺は、 曹洞宗の典型的な七堂伽藍の配置を残し、1960(昭和35)年に都の史跡に指定された。住職は、初世神嶽通龍禅師以来、累代高僧を輩出してきた。
坐禅会や御詠歌の会のほか、講演会、コンサートなどのイベントも行い、開かれた寺院として親しまれている。