芋掘りと虫探しと保育所の養護
11月の芋掘り。毎年の芋掘りといえば、去年までは皆が芋掘りをしている横でダンゴムシやミミズを見つけ、目をキラキラさせる虫探し一択だった4歳児S君。しかし、今年になるとS君は、年下の友達を引き連れ、芋掘りに一直線。初めて、軍手をしてさつまいもを掘る姿が見られた。
その姿は、自信に満ち溢れ、とても逞しい姿だった。時おり「見て、このお芋ミミズみたい!」と芋の根っこを嬉しそうに友達に見せていた。〝お芋を掘っている〞、〝虫を探している〞、一見全く違う行為に見えるが、実は同じなのかもしれないなと思った出来事だった。
保育士が心得る指針には、保育所における養護とは、子どもの生命の保持及び情緒の安定を図るために保育士等が行う援助や関わりであるとされている。続く文章には、周囲から主体として受け止められ、主体として育ち、自分を肯定する気持ちが育まれていくようにすると記載がある。S君は長年芋掘りを横で感じながら、虫を見つけるという行為のもと、全体として芋掘りに参加していたのではないかと思う。そして、S君が自信に満ちて、友だちを引き連れるようになって、芋を掘る行為になったのではないか。
行事が行われる際、端っこで皆と同じ事をやらずに一見違う事をやっているように見える子…安易な考えでその子を見ると、「興味が持てないみたい」、「集団行動が苦手で…」などと言う人がいる。でも、このS君の姿が教えてくれたのは、そういう子ほどその行事に興味を持ち、念入りに準備をしていることになるのではないかと気がついた。私たち大人が、分かりやすく皆で一緒にやっているよという印象のために、安易に〝同じことをやらせよう〞という力を働かせ、一人の長い準備を待てないのであれば、保育所の養護の視点からは、そんな行事などやらない方が良いのではと考えさせられる出来事だった。
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