自然と生きる OGOUCHI LIFE
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東京最西端・氷川保育園が取り組む“ほんとの木育”

ノコギリの感触に目を輝かせる園児
奥多摩にある東京最西端の氷川保育園で、今年度から〝ほんとの木育〞が始まりました。とうきょう すくわくプログラムを活用し、地域の森づくりに取り組む東京・森と市庭と連携して、1年間を通じた木の学びに挑戦しています。
山々に囲まれた氷川保育園では、散歩に出れば木に触れる機会も多くあります。子どもたちからは「木の家や木のおもちゃと、山に生えている木は全然違うね」という声もあり、そこから〝森にある本物の木と向き合う〞プログラムがスタートしました。

間伐体験の後は森の中のツリーデッキでひと休み
最初の活動は、実際に森に入り木を切る『森のきこり遠足』と題した間伐体験。園児たちはノコギリを手に「うごかないよー」「ギコギコできた!」と声を上げながら幹を少しずつ切り進めました。やがて木が「ミシッ、ミシッ」と音を立てて傾きはじめると、子どもたちから「わあーっ!」と歓声があがりました。大きく揺れる木を見つめる目は真剣そのもの。一本の木と向き合った体験が心に残りました。

大きく傾く木を見つめる子どもたち
園ではふだん「生きている植物はむやみにとらないように」と伝えています。そんな子どもたちにとって、木を切る体験は特別な出来事でした。活動では、間伐されている森と、そうでない森を実際に見比べる場面もありました。木が混み合って暗くなっている森と、光が差し込んで風が通る森。その違いを目で確かめながら、東京・森と市庭の菅原和利さんの話を聞きます。「森を守るためには木を切ってあげることが必要なんだよ」という言葉に、子どもたちは木を切ることが森を守ることにつながることを知りました。
そして、この取り組みは1年間を通して行われます。10月には、製材所を訪ね、切った木が板になる工程を見学する予定です。また、子ども達の希望から製材の際に出る端材や鉋屑を使った木育ワークショップ、自分だけの木製楽器づくり、その楽器を使った演奏会なども企画中。

間伐された森と、されていない森を見比べながら歩く子どもたち
氷川保育園だからできること
遊具で遊ぶだけでも、苗木を植えるだけでもなく、伐採から製材、ものづくり、音楽へとつなげる〝ほんとの木育〞。奥多摩という環境、そして地域との協力があるからこそ実現できる取り組みです。1年間を通じて、子どもたちは木と森の魅力を全身で感じ取りながら、自然と人とのつながりを学んでいきます。