神々の山、悠々と流れる渓谷が魅せる夏の絶景に出会う
自然豊かな西多摩地域は、ちょっと足を延ばすだけで、心地よい景色に出会うことができる。青梅市の御岳山は今、夏の新緑に包まれ、山頂からは美しい山々の絶景が広がる。山頂を歩けば、気持ちの良い風が吹き抜け、鳥たちの優しいさえずりが聞こえてくる。都心部、近隣県からも大注目の御岳山へ、この夏足を延ばしてみてはいかが?
日本名水百選の景勝地「御岳渓谷」
JR沢井駅〜JR御岳駅で降り、多摩川へ下りて行くと広がる御岳渓谷の絶景。秩父多摩甲斐国立公園の中でも特に美しい渓谷として「日本名水百選」にも指定されている。この美しい渓谷は、日本画壇の巨匠・川合玉堂も愛したと言われ、対岸にある「玉堂美術館」では、そんな玉堂作品を楽しむことができる。
渓谷沿いに完備された遊歩道を歩けば、涼しげな風景をゆっくり楽しむことができる。緑が美しい山々と清流、多摩川が魅せる西多摩きっての絶景。この季節ならではの美しさが広がる。
日本一の群生 御岳山の「レンゲショウマ」
古くより山岳信仰の霊山として、金峰山御嶽蔵王権現(武蔵御嶽神社の前身)を中心に発展してきた御岳山。鎌倉時代から江戸時代にかけては武将の信仰が厚かったといわれる。山上には江戸時代より続く、信者のために提供されてきた宿坊が並び、独自の文化を継承してきた。現在は旅館として多くの一般の観光客が利用し、各宿坊の御師(おし)が出迎えてくれる。
親族が御岳山の神主だったという小説家・浅田次郎さんは、2008年の短編作品集「あやし うらめし あなかなし」で、御岳山を舞台にした2作を執筆した。文豪にとっても「御岳山の伝統の理解、そして空気を書くため、神道の本を読み漁り、この2作しかかけないほど、体力を使った」と同書では語っている。
豊かな大自然、古くから変わらぬ伝統を継承する御岳山に、夏になると淡い紫色の可憐な花を咲かせるレンゲショウマ。その群生地は日本一ともいわれている。日本固有の1属1種の花として、古くより日本人に愛されてきたレンゲショウマの花言葉は「伝統美」。この季節限定の、凛とした絶景に会いに、ぜひ御岳山に足を運んでみてはいかがだろう。