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被災地の方が気の毒でならなかった

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被災者と苦労を共有多額の義援金を寄付石川弥八郎さん(76)石川酒造会長

被災地の方が気の毒でならなかった

福生市内の2つの酒蔵の会長、社長が東日本大震災の義援金としてそれぞれ5000万円、計1億円を寄付した。地元紙の西の風新聞(5月13日付)などが報じると、新聞社には「感動した」、「立派な行為」などの声が寄せられたという。一方で、多くの人が「すごいね」と言いながらも「金持ちだから」で片付けただろう。だが、ありのままはこうだ。

「金持ちがお金を出した、と思われたらいささか心外。小さな造り酒屋にそんなにお金があるわけではないです。地震、津波、原発事故、日本がどうなるのだろうと大きなショックを受けた。家も土地も、そして家族も失くし、絶望の中にいる被災地の方が気の毒でならなかったからです」と石川酒造会長の石川弥八郎さん(76)はそう語り目を閉じた。

「降りかかる三重苦、四重苦の中で、政治はもたついているが、日本人の秩序の良さ、犠牲的精神、ヒューマニズムに立脚した行動は世界に大いに評価された。自衛隊も、機動隊も、消防隊も命を張ってくれました。感動しました。暗闇の中で光明を見い出すことができたのが救い」とも。

江戸時代からの付き合いで親戚でもある田村酒造の田村半十郎社長(52)に、「何かできないか」と呼びかけた。田村社長は二つ返事で同意した。一生に一度ぐらいだからと大金を使った。

「義援金は私のお金を使いました。5000万円出せば、無駄使いなんてできなくなる。私だって苦しい。少しでも苦労をすることで被災者の方の気持ちに近づけたらと、思いました」。

7月11日には喜寿を迎える。福生市長や多くの公職を務めてきた石川さんだが、酒造所の経営に行き詰るなど苦難、困難に直面したことは数知れない。その度、気持ちを奮い立たせ前に進んできた。「被災地も日本も気持ちが折れてはならないのです」とうなずいた。

「多満自慢」で知られる石川酒造は文久3( 1 8 6 3 ) 年の創業。田村酒造とともに福生市内で江戸時代から続く造り酒屋で、石川さんは17代目。現在は18代目の長男の太郎さんの下で、酒と地ビールの生産を行う。

 

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