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「下田さん家の豚」がブランド

良い豚を、良い環境、良い飼料で

山田敏夫さん青梅市成木

青梅市成木で養豚農家を営む山田敏夫さん(61)が育てる三元豚は脂質がよく、臭みがなく、軟らかい。東京で肉を生産していることを誇りに、自分が信じた育て方で仕事と向き合う。

愚直においしい豚を育てる山田さん

祖父が農業を営んでいたが、父親は都営バスの運転手だった。山田さんは学校を出ると武蔵村山市の肉の卸会社下田畜産に勤めた。飼育方法や豚の良し悪しを、見たり聞いたりして覚えた。

養豚業に就きたいと思うようになった山田さんの気持ちを知り、社長の下田茂さんは、農家から引き取った豚の中から良さそうな豚が出ると、山田さんに「持っていっていいぞ」と言ってくれた。豚の飼育も始めながら、卸会社を5年ほどで退社し、1 9 7 4(昭和49)年に本業として養豚をスタートさせた。

良い豚を、良い環境、良い飼料で育てる。卸会社での経験は、決してぶれない豚の育て方を山田さんの体に叩き込んでくれた。

飼料はメーカーが一押しというものを誰よりも早く採用した。きれい好きの豚のために掃除は小まめにした。下田さんのアドバイスで、味を乗せるために普通の豚より2カ月余り長く飼育した。

夏は朝5時起きで作業が始まる。水や餌やりは1 日も欠かせない。周囲の環境に配慮し、可能な限り臭いを抑える努力もした。楽ではなかったが、今は独立した2男2女の子どもたちの成長が励みになった。側で妻の百合子さん(61)がいつも支えてくれた。

今は120㌔〜130㌔に育てた豚を年間400頭ほど下田畜産に出荷する。その味は「風味が良くて自然な甘味とうまみがある」「ジューシーで柔らかい」と評判。「下田さん家の豚」のブランドで、その多くが高級スーパー「成城石井」で消費されるという人気だ。

「東京で良い肉を作っているという誇りがやり甲斐になっています。食べた人がこの肉はうまいと言ってくれるのが何よりうれしい」と山田さん。「良い豚を育てるためにこれからも同じことをしていきたい。妻がいるからこの仕事を続けてこれた」と照れくさそうに感謝した。

*山田さんの豚肉は成城石井のほか、武蔵村山市の㈲下田畜産042(520)7152や国立市のスーパーさえき国立富士見台店で求められる。また、立川駅南口のラーメン魚魚は食材にしている。

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