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前立腺がんが無いと生検で診断されたら切腹で快適な余生を!
東京西徳洲会病院 腎臓病総合医療センター長 泌尿器科部長 小川 由英

 

例えば、PSAの値が高いので泌尿器科を受診しMRIあるいは前立腺生検をした結果「癌はない」と言われた場合、MRIや生検で検出できない小さな癌はあるかもしれませんが、一般的には大きな前立腺肥大(50㌘以上)であることは間違いありません。

尿の出具合が悪くなく、残尿も多くなく、膀胱炎などを起こしていなければ急いで手術を考えなくても良いです。しかし、大きな前立腺の場合、将来的に尿が出なくなる(尿閉)可能性があります。

選択肢は3つです。

手術法もいろいろあります。血液サラサラを飲んでいる場合はレーザー、温熱療法、凍結療法、尿道ステントなどが良いと思います。血液サラサラを飲んでいない場合、手術が可能な場合は前立腺切除/摘出術が良いでしょう。その方法としては、経尿道的切除術(TUR、TURISチューリス)、ホルミウムヤグレーザー核出術(HoLEP)、経尿道的核出術(TUEB:チューブ)などが一般的です。小さな前立腺肥大(膀胱頚部硬化症 )であれば、どの手術法でも術後の経過はあまり変わりません。

大きな前立腺(50㌘以上)の場合には、術後の尿失禁、尿道狭窄、膀胱炎症状など手術法によりかなり異なります。これらの手術では電気メスかレーザーで組織を焼きますが、その際、排尿を司る括約筋を損傷することが多く、特に一時間以上の手術は尿道を傷つけます。

さらに術後出血のコントロールのために前立腺部をバルーンカテーテルで長時間牽引圧迫しますので、括約筋の損傷は免れません。括約筋損傷により尿失禁が長引きます。

この様な手術の弊害を極力回避する為、当院では大きな前立腺は開腹手術(恥骨上前立腺核出術)を実施しています。

手術時間も30分前後で、出血も少なく、大きな前立腺があっという間に摘出できます。創も10㌢以下で、1週間創の痛みに耐えれば、その後の排尿は夢のようで、十分満足できるものです。切腹で、術後の快適排尿を楽しみたい方は受診して下さい。

 

① 時期をみて手術を受ける。
② 薬(ノコギリヤシ、ホルモン剤)で出来るだけ小さくする。
③ 尿が出なくなったら、一生涯管で尿をとってもらう(自己導尿か留置カテーテル)。

 

 

東京西徳洲会病院 腎臓病総合医療センター長 泌尿器科部長 小川 由英

現  職

東京西徳洲会病院 腎臓病総合医療センター センター長

東京西徳洲会病院 泌尿器科部長

琉球大学名誉教授

職  歴

1970年4月 慶應義塾大学医学部助手(大越正秋教授)

1976年7月 米国バージニア医科大学 移植血管外科 臨床フェロー(H.M. Lee教授)

1978年7月 筑波大学 腎泌尿器系 講師(北川龍一教授)

1982年7月 順天堂大学 泌尿器科 助教授(北川龍一教授)、慶應義塾大学 泌尿器科 兼任講師(田崎寛教授)

1994年1月 琉球大学 泌尿器科 助教授(大沢炯教授)

1995年4月 琉球大学 泌尿器科 教授 兼 血液浄化療法部長

2008年4月 琉球大学 医学部 名誉教授、東京西徳洲会病院 常勤顧問

お問い合わせは 東京西徳洲会病院 TEL(代表) 042-500-4433

 

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