あきる野市 森田康大さん
料理で一番大切なこと。それは「旬のものを食べる」。1年中どんな野菜も手に入る現代だからこそ、日本の「旬」を求めて、地元農家さんのお話をお伺いしました。
森田さんが行うのは色々な種類を少しずつ作る「都市型農業」。トマト、きゅうり、なす、ピーマン、じゃがいも、とうもろこし等はもちろん、お米も作っています。自身で運営する直売所「雅月」には、この日、採れたてのトマトが並んでいました。
「完熟してから採っているんです。数が少なくなるリスクもあるのですが」。真っ赤なトマトを早速、味見させて頂きましたが、ただ糖度が高いフルーツトマトのような味ではなく、とっても濃い昔ながらのトマトの味がぎゅっとつまっていました。
「太陽、大地の恵みを受けた野菜を」
「月に上旬、中旬、下旬と1年で旬は36回。その旬にあわせ全て野菜を作るのはとても難しいこと。作った野菜も全て出荷できるわけではなく、形が悪いものは安く売られるか、出荷できない」と森田さん。現在は、生産品に付加価値を付ける6次産業として、生産物の加工品開発などに積極的に取り組まれています。
「農家さんはプライドや哲学をそれぞれの方が持っており、野菜の作り方も人それぞれ。ライトの光や水で人工的に栽培する野菜も増えているがそれは人間優位の考え方。私は太陽や大地の恵みを受けた野菜を作っていきたいんです」。生産者さんの誇りを感じるお話でした。
数ヶ月の時間をかけ、大切に育ててくれた野菜を、私たちは分けて頂いております。消費者側も価格、形の美しさだけでなく、作る方の思いを感じ、プライドを持って選ぶ必要があるのかもしれません。「自然の恵みを受けて育った野菜は、やっぱりおいしい」。そんな当たり前のことが難しくなった現代だからこそ、野菜が野菜らしく育ち、自然の恵みに感謝しながら頂く。その幸せを、私たちももっと感じなければいけないのかもしれません。
取材:鮫島美穂