関西屈指の漆塗伝統工芸士秋道恵一さん
漆塗の伝統工芸士で関西屈指の塗師である秋道恵一さん(44)が青梅市武蔵御嶽神社の社殿の漆塗り替えを機に御岳山に工房「塗師屋秋道」を構えた。工房は同山宿坊の「南山荘」(片柳茂御師)そばの古民家。
秋道さんは滋賀県彦根市の出身。祖父の留吉さん、父で2代目の貞治さんに次いで「秋道漆工芸社」の3代目。「宮大工になりたかったが6人の兄弟子に勧められ、父の7番目の弟子になった」と秋道さん。13年ほど修業し、31歳のとき漆塗の伝統工芸士の国家試験に合格。近畿圏2府4県でいちばん若い合格者として一躍、名を知られた。
仏壇、社寺建築・修復で全国を回り、関東では東京上野東照宮、鎌倉建長寺の修復などに参加した。
東照宮修復で知り合った鈴木美術漆工芸社長から数年前、武蔵御嶽神社の社殿修復を依頼され一昨年、引き受けた。秋道さんが中心になり6人の職人が修復に携わり、一昨年7月〜昨年10月の1年半掛かり漆塗り替えが終了。その間、6人の職人は30ある宿坊に2週間ずつ泊った。
秋道さんは同神社の修復終了を機に御岳山を根拠に関東、東京圏で仕事をすることを決意。関東の知り合いの工務店、宮大工からの仕事依頼でやっていけると判断した。
本職の社寺建築・修復のほか仏壇、調度類、椀、盆などの小物漆器類、お土産用の髪かんざしなど漆塗の注文があれば何でも受けると意欲を見せる。
秋道さんは「漆製品は高価なものというイメージがあり最初から敬遠されるが、直接取引にすれば納得してもらえる。私は作った人から使う人へ直に手渡すやり方を心掛けている」。工房「塗師屋秋道」への問い合わせは0428(78)8449、ファクス(78)8466。