執筆協力:市民ライターKさん
地産地消を、東京の樹木で実現
出会いは立川駅ビルでのイベント。とても個性的なチェアに惹かれた。出展者は昭島に工房があるというので早速訪れてみた。
独学で家具と器・制作の道へ
荒川さんの工房は、空が広く感じられる場所にある。多くの加工機械と工具が沢山揃い、漆の器を製作する個室も。出身は立川市。幼少から青年期を伊豆で過ごし、この工房を立ち上げるために戻ってきた。「木工の知識は独学。自分が作りたいと思った時から書籍を取り寄せたり、ウェブを参考にして試行錯誤を重ねました」。工房には、個性的な木材が保有されている。
作品のデザインは「木材の個性から着想します。大きな穴があっても、形が揃っていなくても、樹のひとつひとつに物語性がある。木目を見れば、その樹がどんな環境で育ってきたかも判る」と荒川さん。例えば、けやきは一期一会というくらい全部表情が違うという。「断面に予期できない物語が隠されている」と語る。
無垢の木と過ごすということ
荒川さんの作品と出会える機会は展示会とウェブだ。「ウェブで注文されるお客様は、自身でよく調べ、作風や金額なども理解されている。無垢の木材を使うということを理解されて購入してくれるんです」。チェアなら、クッションを置かずに使う方が多いので、使い込むごとに良い艶が出て〝育つ〞のだそうだ。
百年を目指す地産地消
漆は幾重にも重ねて塗っていく。季節、温度、湿度で条件が変わり、同じものが無い貴重さと、使う人の暮らしに合わせて育っていく木工品だ。荒川さんが何度も口にしたのは「地産地消」。東京にある木材で百年後にも使われている家具を作っていきたいと語る。青梅の成木、檜原村や調布の木材も作品になっているという。
樹について熱く語る荒川さんのこだわりは、使う人の思いと重なり、長い時間を豊かにしてくれる家具や器となって、生活に溶け込んでいくに違いない。
renwoodworks
昭島市大神町2-4-3
Tel : 0428-42-3740
mail : info@mokumokuren.com