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SDGs

日本におけるオーガニックの社会化を目指し尽力
「戦後の高度経済成長期の壊れた社会に、ただ納得がいかなかった」

株式会社ポラン オーガニックフーズ デリバリ/本社:青梅市

直営店舗と通信販売・宅配サービスによるオーガニックフードの販売を行う「ポラン オーガニックフーズ デリバリ」。「有機」や「オーガニック」という言葉が、日本にまだ浸透していない1980年に「KIVA(キヴァ)」として創業した。

北陸出身の同社社長の神足義博さんは、上京した際に見た、都心部の光化学スモッグや河川の汚れを見て愕然としたという。「戦後の高度経済成長期の日本。暮らしが豊かになる一方で人間社会を次々に壊していっている現実に、ただ納得がいかなかった」と振り返る。

納得のいく暮らしを取り戻すために、原点の「農」と「生産」から考えようと当時、全国でも収穫高1位だった茨城県の農家をまわり、神足さんの想いに賛同する生産者と共に「反農薬・有機農業」を旗揚げ。1984年からは「無農薬・有機農業とその流通販売」への挑戦を始めた。

中古のトラックを購入し、仲間の農家から仕入れた野菜を売る移動販売をスタート。杉並から青梅街道沿いの各地域で消費者に呼びかけ、ルート販売を開始した。「子どもたちのことを想うお母さんたちがすぐに集まった」と語る。

 アメリカにも視察に行き、オーガニックが国の認定制度へ向けて実践していることに感銘を受け、ガイドラインをすぐに持ち帰った。当初反対の声が多く上がったが「私個人の利益のためじゃない。日本におけるオーガニックを社会化するためにやるんだ」と強く訴え、賛同する農家も増加。流通ネットワークを進める中、2001年、ついに国内でもオーガニック認証制度が施行。国による制度ができたことで当時、国内有数のネットワークとなっていたが「後は国のガイドラインに沿って、個々で事業を進めべきだ」と、解散の道を選んだ。

現在、同社の理念である「地球の家を保つ」を元に有機野菜、自然食品、エコロジー生活雑貨など4000品目を取り扱う。青梅市と茨城県つくば市の2店舗と通信販売や宅配を行う約3000世帯への宅配で日々、自信を持って販売できる商品のみを届けている。「移動販売を始めた時から、何をすべきかは決まってたかな。後は流れに沿って進んできただけ」と笑顔で話す神足さん。「曖昧な生産方法をせずにしっかりと有機農業はできる、ということが確立できたと思う。今後は次世代へバトンタッチしていきたい」と目を細め話していた。

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