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コラム

今後の森林と人間の関わりを問う「ナラ枯れ」

 

 

雑木林を歩いていると、甘酸っぱい樹液の匂いが漂っていることに気づき、

樹冠を見上げると盛夏にも関わらず葉の色が褐色に変化していることに驚きました。 「ナラ枯れ」と呼ばれる樹木の伝染病です。

2000年頃から西日本と北日本で拡がりはじめ、

東京都では2019年に確認されて以来、多摩地域の雑木林を中心に急速に拡大し西多摩の山間部の樹木にも伝染しています。

 

 

 

 

 ナラ菌を媒介するカシノナガキクイムシ(以下、キクイムシ)が樹木に侵入して伝染させ、

雑木林を構成するブナ科コナラ属に属する樹木を中心に、大きな影響を与えています。

集合フェロモンを放出して他の成虫を呼び寄せるために、一度キクイムシが侵入した樹木では大きな被害を受けるので厄介です。

 

 

 

 

 菌に侵された樹木は水を吸い上げる力を失うために葉をつけたまま枯れてしまいます。幹にはキクイムシにより掘られた小さな穴が多数確認され、

根元にはフラスと呼ばれる木屑が溜まることが特徴です。またキクイムシは直径が太く、樹高が高い樹木を好むことが明らかになっています。

雑木林の樹木は木炭や薪、田畑に撒く肥料、椎茸のホダ木として日本人の生活と深く関わってきましたが、185

戦後の燃料改革(石油やプロパンガスへの移行)により雑木林の樹木の利用は減少していきました。その結果、薪炭林として利用してきた雑木林が放置され、

近年はそれらの樹木が大型化したために、大型化した樹木を好むキイムシが増加して被害を深刻化していると考えられています。

 

古来より森林との付き合いを考えてきた日本人ですが、近代では経済的な側面から放棄される森林も現れてきました。ナラ枯れはこの先の「森林と日本人の関わり方を問う」大切な事象と私は捉えています。

 

 

 

 

コラム執筆者

宮田 浩

エコツーリズム・グリーンツーリズムなどに携わり現在は年間を通じ、御岳や奥多摩などを中心としたツアーガイドなど数多く行う、川と森を案内するスペシャリスト。

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