石川酒造の塩麹と出会い、理想の味追及
奥多摩の台所
奥多摩駅すぐの場所にある「奥多摩の台所」が、今年4月12日に発表された「第14回からあげグランプリ」で、全国から名店並ぶ中、見事「塩ダレ部門」で金賞に輝いた。
オーナーの佐藤和義さんは、奥多摩町日原出身。専門学校卒業後、中国料理の大手「東天紅」に入社し、その後も海鮮居酒屋、小料理屋など飲食業の腕を磨き続けた。2007年に福生市で焼き鳥にこだわった居酒屋「くら蔵」として念願の独立へ。2014年には瑞穂町にも出店し、コロナ禍の2022年に故郷である奥多摩に同店を開いた。
イベントなどにも積極的に出店する中、西多摩で出会ったこだわりの塩唐揚げに衝撃を受けた。「とにかくその味に、すっかり魅了された」と振り返る。味を再現しようと試みるが、「しょっぱさ」が際立ってしまう。試行錯誤する中、福生市の酒蔵「石川酒造」から「お店でうちの塩麹使わないか」と提案を受けた。試験的に唐揚げにその塩麹、キッコーゴの醤油を使った所、塩の角がとれた理想の味わいに。焦げやすい塩麹の揚げ方を探求し、冷めても、レンジで温め直しても、柔らかさがしっかりと残る、同店オリジナルの塩唐揚げが完成した。
この唐揚げで、同グランプリへエントリー。今回から、客数や従業員数に左右される人気投票制から、より味の真価が問われる審査員による実食制へ変わる中、見事、都内では2店舗のみとなる塩ダレ部門金賞を受賞した。「肩を並べるのが、中津からあげの『もり山』さんや、愛知県の唐揚げ専門店『ごっち』さんなど、業界のレジェンドばかり。まさか受賞できるとは思わなかった」と笑顔で話す。
この唐揚げは、お弁当屋やテイクアウト、仕出し料理として奥多摩の台所で販売しているが、瑞穂町の「くら蔵」でも店頭でテイクアウトの販売も予定する。佐藤さんは「飲食業界は厳しい時代が続くが日々、おいしいものを多くの人に提供していくことにこだわっていきたい。コンテストで次は、1社しか選ばれない最優秀賞を目指す」と意気込む。
奥多摩の台所(電話0428̶83̶2401)の営業時間は11時〜19時。木曜定休。くら蔵瑞穂本店(電話042̶556̶0003)の営業時間は11時〜14時。月曜、火曜定休。