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SDGs

「今の地球は、未来の人達からの借り物。よりよい環境を未来に」1990年代から〝地球に優しい家造り〞に

株式会社エコビルド/拠点:あきる野

自然エネルギーを活用したこだわりの自宅もモデルハウスに

あきる野市で創業100年を越える工務店「株式会社エコビルド」。平野寿一さんが3代目として代表取締役を受け継ぐことになった平成8(1996)年、環境問題が今ほど問題視されていなかった時代に、「エコビルド」という社名に変更し、〝地球に優しい家造り〞に本格的に挑戦を始めた。

明治に同社を創業した貞吉さんから、大工だった寿一さんの父親である忠作さんへと受け継がれた同社。戦後復興の時代は、焼け野原となった家や工場の再建の需要が増加し、八王子とあきる野の間にあった雨間地域には数多くの大工がいたという。数多くの大工仲間と仕事をする父親の背中を見て育った平野さんは、日中は家業を手伝いながら大工の技を磨き、夕方からは工学院大学2部へ通い建築を学び続けた。

「周りには腕の良い大工ばかりだが、中には土建業との兼務の人も。大工のみで食べていくには、他がやらないことをやらなければ駄目だ」と、10年、20年先の時代が求めるものを探し続けた。そんな時、企業コンサルティングを行う「株式会社船井総合研究所」創業者の船井幸雄の書籍、講演を聞く機会が訪れた。「人はやりたい放題のことをやってきた。これからは未来を想像した事業が求められる」。この言葉が突き刺さり、当時、西多摩ではほぼ施工事例もなかった「ECOソーラーハウス」の存在を知った。

自然素材で作られた室内は心地よい空気が流れる

開発者の大学教授の話など、全国で開かれる集まりに足を運ぶ日々。「ただただ面白い。これからの家造りに必要になる考え方ばかりだった」と平野さんは当時を振り返る。太陽光パネルや空気を循環させ、機械に極力頼らない、自然と共生する家造りを求め続けた。

社名を変更した創業間もない頃、あきる野市内から1件の新築の相談が訪れる。への字の大型な建物。太陽光パネルを乗せ、制御装置も2台設置する計画だ。午前と午後の太陽の熱、冷気を自動的に取り込むなど工夫を凝らし、1年をかけて完成させた。現在は太陽光パネルだけでなく、太陽熱を利用し室内自動温度調整や給湯エネルギーに変える「ソーラーハウス」を提案している。

「それ以来、施主の方にはまず四季の暮らし体感してもらい、その後、話をしましょう、といつも伝えている。自然素材、自然エネルギーを活用した室内の居心地を、まずは1年体感してほしいから」。その真摯な取り組みは評判を呼び、施主の紹介、リフォームの相談が今も続いている。「この地球は、現代の私たちが借りているもの。いずれよりよい環境で次世代へ返すのが、我々全員の使命」と平野さん。「異常気象で、産まれた故郷に住めなくなるなんてことが起こるかもしれない。みんなが意識して、行動をとることが必要だと思う」と、先の10年を常に見据え、挑戦を続けている。

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