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朝ドラ「ばけばけ」と小泉八雲 青梅市に残る雪おんな伝説

9月にスタートしたNHK朝の連続テレビ小説「ばけばけ」の男性主人公はラフカディオ・ハーン。日本名を小泉八雲として知られる明治時代の作家だ。代表作に『怪談』(1904年刊行)があり、そのなかの一篇「雪女」が青梅と関わりが深いことはあまり知られていない。(岡村繁雄)
■調布橋の石碑
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小泉八雲(1850~1904)
物語では木こりの茂作と巳之吉が仕事帰りに大雪に見舞われ、渡し場の船頭小屋に泊まる。夜半、ふと目が覚めると全身白装束のおんなが現れ、連れの茂作は冷たい息で命を奪われる。巳之吉は見逃すかわりに固く口止めされた。やがて、巳之吉はお雪という美しい娘と結婚。子宝にも恵まれ幸せに暮らすが、ある晩、約束を破ってお雪に話したところ、お雪は自分の正体がその雪おんなだと明かして去っていく。
その舞台が『怪談』の序文では武蔵の国、西多摩郡、調布村となっている。加えて、小説中の木こり、大きな河、渡し船といったキーワードから、そこが青梅市内で多摩川に架かる調布橋の下流にあった千ヶ瀬の渡しと推測されるという。
青梅市在住で郷土史に詳しい大倉十彌也さんの著書『青梅再発見』(2007年刊)によると「確かに調布村や青梅の周辺が舞台と言われます。作者の小泉八雲に、話をした人物についても、個人が特定されているそうです。その家の娘さんが、松江から都内に移って来た小泉家に住み込みの使用人として働いていた」らしい。

調布橋のたもとにある「雪おんな縁の地」の碑
こうした事情もあって、調布橋の青梅市千ヶ瀬側のたもとに「雪おんな縁の地」と書かれた碑が建てられた。そこで、現地に足を運んでみると、2004年に設置された石碑は横長のもので、裏面はハーンの肖像をはさみ、左右に『怪談』の序文を抜粋した英語と和訳がある。
■レトロ博物館

紙人形で「雪女」のストーリーをたどる
ところで青梅市といえば、少し前まではJR青梅駅前の商店街に昔ながらの映画看板が目立った。銀幕街道とも呼ばれ「喜びも悲しみも幾年月」や「明日に向って撃て!」といった邦画、洋画の名作のオンパレード。だがそれも、老朽化で大部分が撤去された。
この一角にもうひとつ、雪おんな関連のスポットがある。昭和レトロ商品博物館だ。昭和30〜40年代の菓子や飲み物、おもちゃ、文房具などが隙間なく並んで、半世紀余りをタイムスリップした感覚になる。連ドラ放映の影響か、受付の女性スタッフの話では、八雲目当ての来館者も増えたという。
2階に昇ると、目に飛び込んでくるのが等身大の雪おんな。乱れた長い髪に、吊り上がった目は冷え冷えとし、やはり怖い。和室の「雪女の部屋」では雪おんなの物語をたどる紙人形や八雲関連の書籍といった展示が興味深い。
1850年、ギリシャに生まれたハーンは、20歳を目前にアメリカに渡る。職を転々としながらも新聞記者へ……。39歳のとき、編集者の勧めで日本行きを決意。松江に赴任したことが小泉セツとの出会いをもたらし、作家・小泉八雲につながったのだった。
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