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障がいの有無を超えたインクルーシブシアター

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奥多摩町民らが演劇

奥多摩町福祉会館で11月6日、町内の障がい者支援施設「東京多摩学園」の19人と町内の9人が、奥多摩の昔話をテーマとしたお芝居を披露した。演目は、感謝の大切さを説いた「腹立ち地蔵」、峠の安全を守った人物伝「弥兵衛松」、満月の夜の猫たちを描いた「猫おどり秘聞」の3話。公演は13時と15時の2回行われ、保護者や町内外の一般客など119人が観劇した。

観客の前でお芝居をする園生たち

同町に住む原島匠さんは「台詞とダンスで表現するのが楽しい。緊張しなかった」と出演した感想を述べる。「楽しい時間を過ごせた」と話すのは、原島さんの母みゆきさん。「みんながひとつになって作り上げたお芝居だと感じた。演劇の機会をいただけてうれしい」と客席で目を細めた。

聴覚に障がいを持つ榎戸順子さんは「猫おどり秘聞」の冒頭で舞台中央に立った。「花の開花は両手を使ってやわらかく。風の流れは全身をゆっくり動かして。普段の生活と違って、大きくはっきり表現することを心がけた」と手話で話した。

企画は、演劇を通して地域のつながりを促す「楽しくつながるプロジェクト」(日本演出者協会主催)の一環で実施。園内と町内から出演希望者を募り、8月下旬から計14回稽古を重ねた。

プロジェクトの実行委員会のメンバーで演出家の河田園子さんは、障がい者だからといって特別な指導はしていないと話す。「みんな、人の話をよく聞いて理解しようと前向き」。河田さんが「お地蔵さんのびっくりした反応や、病気が治ったよろこびを全身で表現するといいかも」と伝えると、仲間で教え合いながら練習を繰り返した。

年齢や人種、障がいの有無に関係なく、みんなでアートや劇を作る試み「インクルーシブシアター」は全国で広がりをみせる。「コロナで顔を合わせる機会が減った中で、地域の人と劇を作る経験は園生にとってかけがえのないもの」と同学園園長の山下卓さん。「子どもも大人も、障害を持つ人も、誰もが演劇を楽しめるんだと多くの人に知ってもらえれば」と話す。

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