100年桜今春で見納め
あきる野市の武蔵増戸駅前の桜が今春で見納めとなる=写真。樹齢100 年近い老木で、JR東日本は倒木による危険などの除去のため伐採を決めた。3月18日からライトアップされ、住民や乗降者らは花を愛で、別れを惜しんでいる。
桜は1925(大正14)年、五日市鉄道(現JR五日市線)が開通したのを喜び、地元で造園業を営む坂本安兵衛が私財を投じて各駅に植えた。長年地域を彩り、「安兵衛桜」として親しまれてきた。同駅前の桜は美しい樹形で親しまれ、駅周辺住民の暮しを見守ってきた。
6年前から有志でつくる「増戸駅周辺の明るいまちづくりを考える会」が地元森ノ下自治会などの協力をもらい、開花時期にライトアップ。住民や利用者を楽しませてきた。
伐採計画は数年前から出ていたが、「切らないで」との声も多かったことから見送られてきた。ただ、倒木の危険度は年々増しており、JR東日本は昨年、地元に伐採を伝えた。住民らは次の開花の時期まで残してほしいと相談。伐採は4月以降になった。
ライトアップに中心的にかかわり、「増戸の桜」という歌も作り、桜を守ってきた森下晴男さんは先ごろ、「増戸の桜最後のライトアップ」の動画を制作。動画サイトに投稿した。「駅利用者だけでなく多くの人に最後の姿を見てもらい、五日市線の歴史に思いをはせてもらえたら」と話した。