亡き父の楽曲CDに
「御岳慕情」家族が遺志継ぎ実現
青梅の御岳渓谷や御岳山を舞台に男のいちずな恋心を描いた歌「御岳慕情」のCDが3月末に完成した。同市沢井でユズ農家を営み、昨年12月、82歳で亡くなった市川健一さんが作詞・作曲した。「CDにして多くの人に聴いてほしい」という遺志を継ぎ、家族が制作した。CDは無料で知人や地域の人たちに贈られた。
〽さがし歩いて 多摩川の しぶきに濡れてる遊歩道 今日も一人で 空見上げれば 紅葉に映える 紅葉に映える あーあー御岳橋(1番)
3番まである演歌調の軽快な歌で、寒山寺、斜山景(しゃざんけい)や御岳山などの地名が盛り込まれたご当地ソング。一度聴くと思わず口ずさんでしまうほど親しみやすい。
市川さんは江戸時代から続く農家の7代目。接ぎ木を一切しない実みしょう生のユズにこだわり、沢井ユズのブランド化に長年尽力した。傍ら自らを「農民作詞家」と称し、詞を書き、節を付け、自分で歌って周囲の人を楽しませてきた。
昨年秋、CDを作りたいと知人に相談。話が進んでいた途中、体調を崩し、帰らぬ人になった。その後、長男の泰博さんは家族と相談。父親の希望をかなえてあげたいと制作を継続。晴れて完成した。
多くの人に歌ってもらえたらと、CDにはオリジナルカラオケとメロ入りカラオケも収録。「地域をP R し、明るくする歌」と地元の御岳観光協会、御岳山観光協会、JA西東京が推奨している。泰博さんは「父親の願いを実現できてホッとしている。歌を聴き、生前をしのんでもらえたら父も喜ぶ」と話す。
CD の問い合わせは090(1460)5322まで。