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歴史小説家として勝負の年

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青梅市在住の谷津矢車さん

昨年「洛中洛外画狂伝狩野永徳」でデビュー

歴史小説の登竜門「歴史群像大賞」で優秀賞に輝き、昨年3月に「洛中洛外画狂伝 狩野永徳」で作家デビューした青梅市在住の谷津矢車さん。青梅ガス㈱(中村洋介社長)の社員の傍ら、歴史小説界の期待の若手に躍り出た。

更なる飛躍が期待される谷津さん

同書は、昨年12月9日に発売された「この時代小説がすごい!2014年版」(宝島社)で、今もっとも旬な時代小説の単行本ベスト20に取り上げられた。今年は更なる飛躍が期待される。

谷津さんは青梅三小、同三中、都立北多摩高校を経て、駒沢大の歴史学科に学んだ。小年時代から歴史本を読み漁った。1990年代に連載され、人気を博したマンガの「るろうに剣心」にも影響された。

中学になると自ら小説を書くようになった。400字詰めで100枚ほど、新撰組の山南敬助を主人公にしたものが処女作になった。中学2年のときだ。高校で一時小説から離れるときはあったが、大学は歴史の勉強を続けたいと迷わず歴史学科を選んだ。

大学に入ると、周囲には自分の得意分野で挑戦を続ける同級生、後輩が多くいた。エキセントリックな仲間に大いに刺激を受け、「自分に限界を設けてはいけない。小説家になろう」と再びペンを持った。Webの小説家を目指すサイトに投稿。各社の文学賞に応募を重ねてきた。青梅ガス㈱に入社してからも休日や夜を利用して小説を書き続け、気がつけば作品は100を超した。「歴史群像大賞」での優秀賞はそうした中での朗報だった。

受賞作は「蒲生の記」。江戸の儒学者、蒲生君平の生涯を描いたものだったが、デビュー作は編集者の意向もあり、「洛中洛外画狂伝 狩野永徳」になった。高校の日本史の資料集で唐獅子図屏風を描いた人物程度の認識しかなかったが、今は「永徳を書くことが出来て良かった。後世から見れば平板な過去になってしまう人を、生きた一人の人間として描き出すという作業は本当に楽しかった」と振り返る。何より文芸評論家の縄田一男氏から「20代最強の歴史作家の誕生」と評価を受けたことが大きな励みになったという。

歴史小説家にとって難しい時代だが、歴史の本を読んで、面白い人物、事柄があれば小説にしていきたいと目を凝らす。谷津さんは「昨年は三段跳びに駆け抜けてしまった観がある1年でしたが、今年は着実に1歩1歩階段を上がっていくような1年にできたらいいなと思っています」と抱負を語っている。

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