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早苗が揺れる郷愁の風景

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青梅市を東西に流れる霞川は流域に生きる住民の暮らしに溶け込んできた。霞丘陵に広がる農地に命を注ぐのも役割の一つだ。この時期、今寺天皇塚の水田では一斉に田植え作業が行われた。風に揺らぐ早苗は5月半ばにたねをまいたキヌヒカリ。同地に適した品種だという。

今寺・藤橋水利組合(増田孝夫組合長)が管理するこの水田地帯は広さ10㌶。都内では最大規模になる。昭和の初めの区画整理で生まれ、戦後編成替えを経て1971(昭和46)年に新農業改善事業で道路や灌漑設備が整備された。

水利組合の仕事は共同播種や水の管理が主なものだが、水の管理は30年ほど前から霞川の水量が減り、引くのに苦労している。それでも順番で休耕田をつくるなど自主規制し、水が足りないことはない。

ここでも後継者不足がある。担い手は高齢化する。「昔は米が一番大切なものだった。今は知れたもの。この素晴らしい水田風景がいつまで守れるか分からない」との不安の声も聞く。

青梅市で育ち、収穫された米は青梅米として地元の直売センターなどに並ぶ。地産地消の流れの中で、青梅米に目を向けてくれる人も徐々に増えている。青梅市で採れた米を食べることが今寺天皇塚の風景を守ることにつながるなら食べたいという人は多いはずだ。 (続く)

 

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