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日本古来の藍色を 

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「正藍染つつみ」(日の出町大久野)の堤弘史さん(44)、真弓(41)さん

日本古来の「本建て正藍染」という技法で、化学薬品を使わず布を染めあげる。

藍染には薬品が使われていないと思う人も少なくないが、藍の発色や、管理が安易となることから薬品が使われることがある。

堤さん夫婦が実践する「本建て」は、藍草の葉を堆肥のように発酵させた原料(すくも)を、堅木の木灰からとった灰汁のみで再発酵し、藍液を建てる。通称「地獄建て」と呼ばれるほど難しい技法だ。

染めにも手間が掛かる。煮て布の不純物を取り除いたのち、灰汁を布に染み込ませる下処理を施す。布全体に藍液が染み渡るよう指先で何度も揉み込み染める。丁寧に洗い、灰汁をきれいに流し、日光に当てることで、さらに残った灰汁を浮かせる。染めの工程を最低4回は繰り返す。濃い色を出す場合は7〜8回も染めるという。

「1 枚のTシャツを染めるのに1週間ほどかかってしまう。天候によってはそれ以上かかる」と話すが、染めた布は色落ちせず、擦れにも強い。高い抗菌作用や防虫効果、紫外線防止効果も得られる。

「人にも環境にも優しい藍染がしたい」と話す堤さん夫婦

埼玉県所沢市で、娘の千咲ちゃん(10)と咲幸ちゃん(7)の4人で暮らしていた堤さん家族は、弘史さんが勤める東京都森林組合がある日の出町のような自然豊かな場所で暮らしたいと思い、中古物件を購入。2017年に移住した。家には湧水が出る水場があった。この湧き水がなければ染めをしていなかったと2人は話す。

美しい水を使って何かできないかと考えていた時、娘が通う保育園でTシャツの藍染体験をした。自分たちも藍染を始めたいと、19年の年末に栃木県佐野市で本建て正藍染を行う工房「紺邑」で1週間の研修を受けた。

学んだことを家に帰り実践するがうまくはいかない。何度も藍建に失敗した。最近はようやく藍液が安定し、思うような色に染められるようになったが「まだまだ始めたばかり。たくさん染めることはできない」といい、客から依頼を受けた品物を預かり、時間をかけて丁寧に染めるという。

真弓さんは「昔の人が見ていた藍色を、現代に生きる私たちも見られるということに喜びを感じる」と本建て正藍染の魅力を語った。

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(提供:西の風新聞)

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